【追記】出題趣旨等の使い方 | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

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資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

昨日の記事についてご質問を頂きましたので、補足しておきます。


出題趣旨等はそれ自体としてはほとんど価値がありません。再現答案と組み合わせることによって初めてそこに価値が生まれます。


つまり、再現答案から出題趣旨等において、重要な意味がある箇所を見つけていくことになります。


具体的には、多くの優秀答案・合格答案で共通して触れられている点が、出題趣旨等のどの部分なのかを照らし合わせていきます。そこで浮かび上がってきたものが、現場で(厳密には現場そのものではありませんが)合格者達が「書けた」部分、かつ、評価される部分ということになります。


逆にそれ以外の部分は、試験委員の「高望み」や「趣味」の問題で、必ずしも試験で必要とされる要素ではありません。


イメージとしては、出題趣旨にふるいをかけ、試験的に意味を持つ部分と持たない部分に仕分けをする、といった感じになるでしょうか。


具体例を1つ挙げるとするならば、2008年度(平成20年度)の商法における採点実感に以下のような記述があります。


「利益相反取引に形式的に該当するとした場合であっても,すべての株主の同意があるということになると,判例によれば取引は有効ということになりそうである(出題趣旨参照)が,本件事案のように債権者の保護が問題となる局面においても,そのような考えで本当によいのかといったような,実務家が事案の解決に当たる場合には当然に疑問が湧いてくるであろう問題点について,気を回して悩むといったような答案が極めて少なかった。」


試験委員自身が指摘している通りですが、私自身もほとんどこの点に触れられている答案にお目にかかったことがありません。再現答案を見る限り、全株主の同意があるという点を指摘できている答案もそう多くはありません。


ということは、この点は「無視」すべきであるということになります。試験的には無価値な指摘です。


このような無意味な記述をそぎ落としていけば、試験的にも重要な「コア」の部分が明らかになるはずです。