はたらくO山K一郎 | DNA of DeNA

はたらくO山K一郎

季節はずれの新年の挨拶まわりをしている。

全部は回れないけど、近くの大手広告主さんにごあいさつ。

改めてお客様に恵まれてるなぁと感じいったりして、私にとってはかなり有益なイベントだ。


が、かばん持ち研修生のO山K一郎は退屈した。


わが社は新卒がひとりずつ丸一日私にひっつくカバン持ち研修というのをやっている。

ちなみにカバンは持たない。


内部ミーティングとお客様対応と商談、外回りなど、バランスのよい日にあたる新卒もいればちょっと偏った日にあたる新卒もいる。新卒の研修を中心にスケジュールを組むわけにもいかず、いろいろ差が出るがそれもまた運試しよ。


そしてO山K一郎は、丸一日挨拶ばっかり、という日にあたった。


しかもO山K一郎は移動の車内でずっと営業のSb田と私に挟まれ肩身が文字通り物理的に狭かった。


そんなO山K一郎に仕事を与えてやろうと考えた。


最後の訪問の直前、エレベーターホールで伝えた。


「重要なミッションを与える」


ちょっと緊張したO山K一郎に、会話に出てくる英単語とカタカナを数えろと厳命した。先方の分だけ数えること、間違えるな、集中力の勝負だ、と言うとO山K一郎はもっと緊張した。


その上で同行している営業部員全員と賭けをした。30分弱の挨拶ミーティングで何回英単語とカタカナが出てくるか、30回、45回、50回、65回などがでて、私は70回に賭けた。「近い数」勝負では最大か最少に賭けるのが基本だ。


「本年もよろしくお願いします」と挨拶して先方がとりあえず全員日本人だということを確認しO山K一郎はまずホッとした。


最初しばらくカタカナが全く出なかった。いまどき珍しい和風な会社だ。


と、途中にようやく「着メロ」という言葉が出た。会話を一手に引き受けている私以外の全員がガッとO山K一郎を見た。「メロはカタカナだ」そう全員の目が訴えた。O山K一郎は正の字を書き始めた。


ちとペースが遅いな。。。


そこで私は思いっきり海外事業に話題を振った。


すると「アメリカ」「ブラジル」「ヨーロッパ」「インド」それからはもうカタカナが雪崩を打って登場した。

O山K一郎はがぜん忙しくなった。


集計値203回。


もつろん私は優勝した。どんな勝負でも勝ちは気持ちいいものである。全員に気前よくアイスクリームを奢ることにした。Sb田と私の間でアイスをほおばるO山K一郎の横顔はこころもち得意げだった。