復路機内にて | DNA of DeNA

復路機内にて


機内での隣人関係は要注意である。一度話とかしたらいつ会話を打ち切るのか、勝手に寝ていいのか、食事のときはまた会話を再開しないと失礼か、とかかなり厄介なことになる。はじめから目を合わさないのが一番だ。


隣は日本人男性らしいと確認だけして、いつものように速やかに一人の世界に入ってトマトジュースでも飲むことにした。


トマトジュースというのは私の中ではしまりのない味で有名な飲み物だが、それにタバスコとウースターソースとコショウをたっぷり加え更にレモンを搾ってかき混ぜるとトマトジュース出身とは思えないほどパンチの効いた飲み物になる。


うまい。


満足して今度は座席のリクライニングの動作確認作業に入った。ホテル運も天気運も抜群に良い私だが、なぜか飛行機の座席運が異様に悪い。往路も12時間以上、最大傾斜45度未満の椅子にはめ込まれた。まあ、全員がそうだったんだけど、以前は私の椅子だけ壊れていたこともある。


今度は大丈夫だよね、しっかり寝たいんだから、とタッチパネルで背を後ろに倒すボタンを押してみたらビクともしない。嫌な予感。再度後ろボタン、次いで前ボタンと試したが反応ナシ。フットレストを上下に動かすボタンも試した・・・勘弁してよ、もう離陸しちゃってるし満席だし・・・


絶望的な気持ちでスチュワーデスさんを呼ぶコールボタンを探したら、手前にもうひとつタッチパネルがあることに気がついた。



・・・ずっと隣の人の椅子を動かしていたことになる。。。



思わずガッと隣人を見た。


しっかり目が合った瞬間、


「大丈夫です」


こっちが謝る前に言われた。




久し振りに機内で隣人と言葉を交わしてしまった。

やっぱりものすごく気まずかった。