DeNAのキュレーション問題が沸騰しており、わたしとしては「そうだよね」という気持ちで日々ニュースを見ています。やっと全部明るみになった。関係なくもないので、わたしも1回だけこれに関して思うことを書いておこうかと。今日だけマタニティブログおやすみキョロキョロ

 

まずはじめに、ニンプスをはじめとする弊社メディアは、医療情報には医師や助産師の先生を、食事は管理栄養士さん、お金のことはFPさん、子どもの健康については小児科医の先生、というように、専門知識が必要な情報にはすべて監修を付けています

主婦ライターと呼ばれる、クラウドソーシングを使って作った記事も1本もありません。基本的に社内スタッフが書くか、医療系・子育て系の情報におけるキャリアのあるプロライターさんにライティングを依頼しています。原稿はわたしか編集長がいったん全部見ます。なので、今回の事件において、うちはなにも怖いものはないです。他社がいまやっているような、あわてて落としたり直したりする記事はなにもありません。

 

また、いまDeNAだけが目立って叩かれていますが、ほかにもたくさんこんなサイトはあります。というか、この2年こんなサイトばかりが立ち上がりました。全部同罪。いまだに、しれっと運営を続けているキュレーションもいくつか見えていますが、淘汰は時間の問題かなと。

 

また、この件には3つの大きな問題があるのですが、「なにそのニュース?」という妊婦さん・ママのためにいったんこれを整理すると

 

DeNA社が最近作ったネットの記事における問題で

 

(1)医療・健康情報なのに、内容がでたらめ・いたずらに不安をあおるようなこともたくさん書いてあった。つまり中身が(医療)情報としてゴミ。これらは、医師などの監修もなく素人が見様見真似で作ったものだった。

(2)他サイトからの丸写し記事が山ほどあった。フェアじゃないというか犯罪(?)。

(3)(1)(2)に関して、運営会社が「勝手にライターが書いているから自分たちに責任はない」と言い放って運営していた。どころか「コピペ推奨」ともいえるようなマニュアルさえあった。会社の考え方がバカげている。

 

(2)については、運営会社もよくなかったですが、その温床となっていると知りながら運営を続けているライター募集系のマッチングサイト(いわゆるクラウドソーシング)も、≒同罪ではないかと思います。以前からずーっと言い続けていますが、(主婦)ライター?に書いてもらっている原稿の原稿料は、とんでもなく安く、わたしたちみたいなプロが書いても「東京都の最低賃金以下の時給」にしかなりません。つまり仕事としてまったく成り立ってない。激安ギャランティだから、みんな適当に量産したくなっちゃう。そりゃコピーもするって。当たり前です。

 

 知っていて、原稿を発注しているDeNAほかキュレーション。

 知っていて、ライターマッチングをしてたクラウドソーシング。

 

どちらも自分勝手でダサい仕事をしています。昭和。

仕事として請けていた主婦もどうかと思う、という声もありますが、仕組みを作って人を操っていたほうがやっぱりだいぶ悪い。

 

こんなの、ずっと前から業界ではわかっていたんです。丸写しなんて、うちのサイトもこの2年さんざんやられました。いちおう、生々しい例を出しておきます。実例がいちばんわかりやすいですよね。

 

ほんとは山のようにありますし、これは一例に過ぎないので、社名が出てしまってあれですが、株式会社ウエディングパーク。サイバーエージェント社の100%子会社なんですが、この記事ひとつとっても弊社の「ニンプス」丸パクリをなさっていらっしゃいます。世間で言われている盗用とはこの感じです。

 

 

こちら、検索結果ですが、タイトルの下の黒文字のほうをご覧ください。本文です。

上がニンプス(これは私たちが作った8年前の原稿。もちろんお医者様の監修原稿です。)

下はウェディングパークさんのサイトの原稿。

 

中味まるっと一緒です。どう考えても、コピぺですよね。

で、本日、記事をクリックするとこの画面です。記事を消して逃げた。

 

サイバーエージェントさんも、ぜひ記者会見を明日にでも。

あ、これ、サイバーさんのブログですが。

 

「こそだてハック」さんも、こんな声明を出していますが、いえいえ。こちらの会社さん、2年ほど前にニンプス丸移しの記事があったので弊社から指摘をしたところ、返答もなくその記事をそっと消しましたので、社長様にフェイスブック上からクレームを申し上げましたら、社長様は私のアカウントをブロックなさいました。丸写し記事に対して、まったく真摯な対応ではありませんでした。

 

はい。つい私情で愚痴っぽくなりましたが。

 

ここまではすでにニュースで言われていることなので、わたしからはこれ以上特にコメントすることはありませんが、見ていてどうしても引っかかる個所がもう1点。だいぶ全体の認識がずれている気がしています。

 

医師(専門家)の監修における箇所です。

えーっと、なんだかちょっと、監修をつければそれでOK の論調になったように見受けられますがそれは、ない。なめすぎ、です。DeNAさん守安社長がこの記事の中で「きちんと監修されたコンテンツであれば、SEOをしていても問題はなかったと思います。」とおっしゃっていますが、甘い。そういうことは、やってみてから言いましょう!です。

 

何十万本とある記事を、お医者さんなり専門家が、さくっと、バイト感覚で見てくれるルンルン

とでも思っているんでしょうか。マジかー ”きちんと監修”とおっしゃいますが、具体的なイメージありますか。もしかして、医師に原稿を送って→赤ペン先生してもらうイメージじゃないですか?

 

そもそも、お医者様をはじめとする専門家の方の監修というのは、つける・つけないとかいう、記事の合格ラインを表現しているものでなく、そのかたの知見や専門性を、記事に対して拝借させていただいているものですよね。メディアは、先生方の知識や知見を貸してもらって、内容の正確性や安全性を確保しているんです。みんなが知りたい(であろう)ことを、誤解やミスのないように正確に伝えるために、専門の職や資格、知識を持った方にお話を伺ったり指導を仰ぐ・間違いを正していただく。これが、監修を依頼する際のメディアのスタンスだと思うんです。先生方に見せて通すという品質管理のためのフローの一端などでは決してなく、読む・見る人のために、先生方の知見を貸してもらっているんです。媒体という名の通り、メディアはその橋渡しをしているだけです。

 

また、ひとくくりに「医師」といっても、お医者様も人間ですから、当然ながらおひとりおひとり、伝えたいことも、意志も、仕事におけるスタンスも違っています。当たり前です。とくに第一線で活躍なさっているような先生方は、ほんとーに個性的なかたばかり。

 

バイトで記事チェックしてちょハート

 

OK-OK 

 

なんてことになりません。当たり前ですけれど先生方には本業があります。産科医の先生なんて、日々を拝見しているとほんとに多忙で、バイト監修で小遣い稼ぎなんてする暇も、おそらくそんなお金も目指していらっしゃらない。ご自身の想いや知見を伝えるために、患者さんのために、本業の隙間時間で、本を執筆なさったり、世界を飛び回って講演をしたり、地方の病院での診察をなさっていて、おどろくようなスケジュールで日々活動されていらっしゃいます。

 

そんな多忙ななか、どうしてお医者様は記事を監修してくださるのか。

 

わたしは、8年前に「ニンプス」を作ったのですが、その際に何人ものお医者様に多忙だからという理由で監修を断られました。そんな中、お引き受けくださったのが、いまでもニンプスとお付き合いをいただいている何人かの先生方。先生方が監修を引き受けてくださったのは、わたしたちが「ニンプス」で社会に何を伝えていきたいかを、理解くださり広く受け入れてくださったからこそです。また、先生方も日本の妊婦さんやママに伝えたいことがあるから。

 

小遣いのためにやっているのではなく、読む人の健康や気持ちのために、正しい情報を広く伝えていくために、お忙しい中、監修を引き受けてくださる先生がほとんどです。

 

だから、先生方の監修もとても真剣です。

ちゃちゃっと見てね→OKOK なんてならないです。

 

ちょっとしたニュアンスを書き手と先生との間で何度も調整したり、先生の意図を取材でつかみ切れず何度も書き直しになることだってあります。そうやって教えてくださる先生方の思いや専門知識と、読者さんにわかりやすく伝えたいメディア側が、双方で試行錯誤しながら、「監修」は行われています。人(医師)と人(メディア)が、それぞれの考えや想いを文字にして反映しているわけです。人(読者)に伝えるために。だって、身体や心、場合によっては生命にかかわることが含まれているわけですから。

 

言うまでもなく、先生がたはプロです。プロ中のプロです。わたしたちもプロです、人に伝えるプロ。双方、自身の仕事に誇りがあるからこそ、記事内容に厳しくなって当然。ちゃちゃっと素人がコピペや引用でなんとなくつなぎ合わせた原稿を見て、OKなんてするはずがない。

 

さらに、お医者様だって、意見はいろいろです。

見せれば全員が統一見解になるわけでもありません。ここがメディアの難しいところでもあります。

 

たとえばですが、「帝王切開」という言葉ひとつをとってみても、お医者様によって見解は多様です。「帝王切開はなるべくしない」という方針の先生もいらっしゃいますし、「安全等のために、帝王切開が最適」と語るかたもいらっしゃるでしょう。

 

子どもの「予防接種」についても、打つべき!の先生と、なるべく打つな!の先生もいらっしゃいます。

 

「母乳」についても、「粉ミルクOK」の産院もあれば、「母乳でがんばれ」の産院もあります。これも病院や医師・助産師さんの方針の違いです。医師と助産師さんで、おっしゃることのトーンが異なるケースも多々あります。

 

よって、医師の中でも誰が監修したかで記事の内容は大きく変わります。メディアはこれに対してどういうスタンスをとるかを問われます。自らも積極的に最新事情を学びつつ、なにを「正しさ」として伝えていくか。これもメディアの責任です。書いた人のせいだなんてとんでもないですし、監修者に責任を丸投げするのもだいぶ間違えています。

 

というように、原稿を医師(専門家)に監修してもらうといっても、そんなに簡単なことじゃないです。ひとつひとつに向き合って、意図を汲みあって作っていくんです。そうやってはじめて、正しいことが・わかりやすく・広く人々に伝わる。事業としてスピードや量が欲しいのなら、そのうえで上げていく方法を考えるべき。これが、情報をひろく公開するメディアの責任です。(読み手のリテラシーも上げる必要がありますが、リテラシーの低さを逆手に取るなんてもってのほか)

 

じつはこの数日、弊社に「記事監修をやってくれるお医者様はいませんか?」という、お問合せを他社からいくつかいただいているのですが、あの依頼はあほぽんたんなんでしょうか(←やや失言)。自分勝手な記事を作っておいて、1本〇円でお医者さんがチェックすれば掲載OKでしょ という考え方が、だいぶずれている。監修してくれる人の知見をばかにし、読み手をないがしろにしている。結局、DeNA問題と何も変わらない。何の役にも立たないゴミ記事が、「監修らしきもの」を通過してまたネットに戻ってきてしまうだけです。

 

なお、隠しておく必要もないので書いておきますが、DeNAの問題メディアのひとつ「Cuta」の立ち上げに際し、弊社も制作協力をしています。妊娠・出産・子育て情報の原稿を何本か納品しました。DeNAさんが、おそらく初めて「医療情報のメディア」に手を付けた瞬間の制作アドバイスということで、わたし個人も立ち会っています。責任者の方からも「現場がメディアづくりに不慣れなので、いろいろ教えてあげてほしい」というまっとうなオーダーをいただきました。

 

実際に制作がスタートしDeNAさんとのやり取りを重ねる中で、(妊娠出産における)医療情報は軽んじては危ない、医師監修を付けるべきだと、わたし(と一緒に入った友人)から伝えましたし、必要性やかかる予算と時間・やりかたも伝えました。当時の担当の方は「監修を付ける」と、ちゃんとジャッジしていましたし、その際にわたしのほうでアテンドした書き手は「プロ」の「医療や妊娠・出産分野を長年勉強している」ライターさんばかりでした。が、最終的に、全体的な予算や制作方針がどうしても私たちのやりかたと合わず、(あと弊社が行き届かない部分もあり)途中で弊社は撤退というか..クビになりました。

 

弊社が持っている、ママや赤ちゃんにやさしいまともな情報を作っていくノウハウと

DeNAさんが考える、SEOに特化し・安く・早く仕上がる記事

 

というのが、すり合わなかったんですね。

それが約1年半前です。なのでDeNAは、医師監修の必要性を1年半前には知っていたということになります。なにかしらの理由で、できないか・やらなかったか、だと思います。当時、かなり注目の事業でしたから、数字のプレッシャーもきっと大きかったのかなと思っています。さらに、「役立つ情報をお届けする」スタンスだったGoogleの頭なり技術なりが、いよいよ追い付かなくなった、時期的な問題もなにかの節目だったように感じます。ロボット検索の現時点での限界。

 

うちの会社は、妊婦さんやママ・赤ちゃんに関する情報を、今後も提供していきます。自分たちのことを棚に上げず、お金に目がくらんじゃうことだって正直あるけれど、おかあさん7人でやっている会社ですから、日々自分たちが立っている場所を見つめなおし、子どもに誇れる仕事を、未来に残っても恥ずかしくない仕事をしていこうとあらためて思いました。

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