教えてはいけない | 中屋敷左官工業(株)

教えてはいけない

このブログでもいつも言っておりますが、「モデリング手法による塗り壁トレーニング」の一番の目的は塗れるようになることではありません。
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「仕事は見て盗むもんだ!の現代版」というとおり、

仕事を身に付けるために「自分で考えて、自分で学んで、自分でその問題を解決する」という癖付けをするのが一番の目的です。

訓練校で塗り壁トレーニングを開始するときに、実技トレーニングのお手伝いしていただいた左官歴60年近くになる、長年この訓練校の先生をやられているベテラン先生にひとつお願いをしました。

「見て盗むのが大事なので、決して教えないでください」と。

最初、そのベテラン先生はとても難しい顔をされました。

いざ訓練がスタートしてみると、いつもの癖が出てついつい声をかけてしまう・・・

私はさらに重ねて教えないようにお願いをしましたというか、むしろ禁止に近いものでした。

日を重ねるごとの生徒達の驚くべき成長ぶりを見て、ベテラン先生も一切口を出さないようになってくれました。
訓練校に見学に来られた方々にも、「生徒達に一切のアドバイスはしないでください」とお願いをしました。

「塗り方を教えてはならない」

モデリング手法の要です。

このトレーニングで必要なのは「先生」ではなく「コーチ」
大切なのは教えるのではなく、彼らの中にある能力を引き出すお手伝いをすることなのです。

そのための授業をいくつかご紹介しましょう!

1つ目
「見て盗む場所の洗い出し」
モデルの映像をよ~く見て
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見て盗む場所を具体的にみんなで発表し合います。
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30近くもの見て盗むポイントが出てきました。

2つ目
「自分達の塗り映像とモデルの映像を連続して流し、違いを見つける」
モデルと自分の映像を二つ並べて同時に再生し、モデルと自分の違いを見つけていきます。
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修正ポイントが具体的であればあるほど修正はしやすくなるのです。

3つ目
「毎日の振り返り」
毎朝、昨日を振り返り、上手くいったこと、上手く出来なかったことを極力具体的に発表し、
さらに今日のトレーニングにおける具体的な目標設定をする。
このように自分を客観的に見る癖付けをすると言うことはとても大事だと感じています。

これらの訓練をすることにより、「見る」が「観る」に変化していき、モデルとの違いを自分で見つけられるようになっていきます。

「発見」とか「気づき」というのが技能訓練にはと~っても大事だと思います。

だからこそ「教える」は禁止なんですよ~