genesixの推薦図書、リーンスタートアップを読んでみた。

これ、いいですわー。
スタートアップ(この本ではスタータップの定義もこだわってるのだけれど割愛)が、一人の天才や至高のアイデアに頼らなくても成功確率を上げるための方法論が書かれています。

これからスタートアップに関わる人は読んだほうがいい。とても実践的だから。
今までスタートアップ的なことを経験してきた人にとっては、思い当たるフシ…耳の痛いことがあちこちに警告されているのでその分、納得度や理解度は高いでしょう。
自分は後者で…「ごめんなさい (T▽T;)」と、懺悔しながら読みました。タイムマシンがあったらやり直したいと思った場面が何度あったかと。

リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす/エリック・リース

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ということで、ここからは読書メモ。自分用に最適化したメモなのでバイアスかかってます。要約しようとしてないし。ただ、重要なエッセンスは抜き出してあるので、興味もったらぜひ読むべし!


「残念なスタートアップ」あるある:
・偉大なビジョンと計画に全てをかける
・戦略が正しくても、戦略の基礎となる仮説が間違っていて失敗する
・実装した新機能の数で生産性を測ろうとする
・必要のない機能の実装を効率的に達成する
・「いいものさえ作れば売れる」と信じる
・よいアイデア・情熱・やる気・優秀なメンバーがいればうまくいくと信じる
・うまく行かない原因はチームの努力不足、または効率の悪さだと考える
・β版と名乗って実験したつもりになるが、バグや機能のテストにとどまる
・顧客の声に対応する優先順位がつけられずに迷うが、迷うぐらいなら「走りながら考えよう」とする
・過去に効果的だった戦略が現在も有効だと信じる
・ファーストリリースの製品に「会社を賭ける」
・バイラル型で成長する設計のサービスを、総顧客数が伸びているからうまくいっていると判断する
・顧客の定着率が問題なのに、営業やマーケティングに力を入れる
・事業の失敗を悲惨なアイデアや戦略のせいにする
・事業成長の過程で事業マネジメントの性質が変わっても一人の人間が全て担当する



…上記のような残念を回避するためにリーンなやり方が有効。


リーンなスタートアップとは:
・直感や勢いや精神論でなく科学的なノウハウ
・悲惨なアイデアや誤った戦略からスタートしても、適切に解決方法が導きだせる
・スタートアップの情熱や努力の無駄遣いをしないためのマネジメント手法
・価値を生み出している努力と無駄な努力を明確にする
・不確実な状況で生み出すすべての新規サービスやプロダクトに適用できる
・「その事業はできるのか」ではなく「その事業はやるべきか」を導く
・スタートアップが行うことはすべて「検証による学び」を得るための実験と定義する
・顧客から学ぶために必要な範囲を超える作業はすべて無駄だと考える
・戦略の正しさを確認するための実験である
・重要なのは戦略の正しさよりも、どう始めるか
・戦略を事実要素と仮説要素に分解し,仮説要素の正しさを確かめるための実験である
・スタートアップの価値はモノを作ることではなく、検証を経て持続可能な事業の構築方法を学ぶこと
・仮説要素のうち「価値仮説/成長仮説」は成長エンジンをコントロールする重要変数である
・実行時は「構築ー計測ー学習」のループをまわす
・計画時は「学習ー計測ー構築」の逆ループで考える
・不確実な実験であっても、進捗を計測することが重要である
・計測する指標や取得方法、共有方法などの設計が重要である
・ネガティブな結果=あきらめではなく、改善方法を考える
・ループの節目で、戦略に方向転換が必要か、耐え忍ぶべきかの意思決定を行う
・リーンスタートアップは学習のループを速くまわすことを目指すため、個人の業務効率は下がる
・アジャイル開発は変化する事業ニーズにエンジニアが製品を対応させることに最適化するため開発に集中させるが、リーンなスタートアップはエンジニアも事業の意思決定に関与するため個人の作業視点だと開発の効率は下がる
・バッチサイズを縮小することで無駄な時間やお金、労力を最小限におさえられる
・実用最小限の製品は出荷する瞬間まで仕掛品在庫=小さい&短い方がよい
・成長エンジンが複数ある場合でも挑戦の要となる一つのエンジンに集中したほうがよい
・成長エンジンは固定でないので、使い切る度にチューニングが必要
・リーンなテクニックとして「5回のなぜ」や「小さなバッジ」が有効
・顧客について調査し、何を作るべきかを考えるのはプロジェクトマネージャーだけの仕事ではない
・リーンスタートアップは狂信的な教義やイデオロギーではない


ちなみに「構築ー計測ー学習」のループの原理原則については、一般的にABテストとかスプリットテストとか言われるものと前提は一緒。検証したいひとつの項目に集中しなければどこに効果があったのか、何がユーザーを動かしたのかを正確に検証することは出来ない。だからリーンなスタートアップでは、『顧客から学ぶために必要な範囲を超える作業はすべて無駄だと考える』。”無駄”とまで言い切るのはABテストだと思えば至極当然のこと。


メモメモ:
・価値仮説
顧客が使う時に本当に価値を提供できるか。
何を指標にするかが大事
意見を聞いても精度が低い。(人間は自分の感情を客観的に判断するのが不得意)
ex)Facebookは開設後、ユーザーの半数以上が毎日訪問していた

・成長仮説
新しい顧客がサービスをどうとらえるかを判断するもの
サービスがどのように広がっていくのか
平均的な顧客の言動ではなく製品をもっとも欲している顧客をみつけ言動を測るべき
ex)Facebookは開設後一ヶ月でハーバード大学の4分の3の学生に広がった

・コホート分析
「この期間に製品を利用した人のうち、私たちが注目する各種行動をとった人数は行動毎に以下の通りである」という形式を取る


ちなみに、ここで出てくる「価値仮説=顧客が使うときに本当に価値を提供できるか」という概念はこの前読んだ「ハイコンセプト」のある章を思い出させる…。
「ハイコンセプト」では「【機能】だけでなく【デザイン】」という章で、ユーザーの潜在的なニーズにどうアプローチするかを追求し具現化することの重要性と、その能力を高めるために有効な具体的方法も書かれているんだけど、「リーンスタータップ」はさらに具体的にその方法を明かしたものだなと。右脳的解決に頼らずに、左脳的に。「ハイコンセプト」、読んでから「リーン…」を読んで良かった。もしかして逆に「リーン…」読んでから「ハイコンセプト」再読すると違うことも見えてくるのかもね。


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