行政書士 兼 離婚コーディネーターの中森です。
離婚の条件で、夫が住宅ローンの債務者の場合に、
妻と子どもが住宅ローンの残っている家に住み、夫が
住宅ローンを支払うという取り決めをすることがあります。
この場合、妻側としては、「夫が住宅ローンを支払えなく
なった時、不安」という声と、夫側は「再婚や減収により、
住宅ローンが支払えなくなったらどうする?」との声が
あります。
仮に離婚後に妻と子どもが住宅ローンの残っている家に
住み続け、夫が住宅ローンを完済するという取り決めを
してその内容を公正証書にしたとします。
夫は数年間はローンを支払っていましたが、病気で働け
なくなりローンを支払い続けることができなくなりました。
妻は公正証書に従って、夫にローンを支払うよう要求は
できますが、夫には収入がなく支払うことができません。
この場合、妻が住宅ローンの支払いを肩代わりしない
限り、債権者である銀行にとっては住宅ローンを滞納
したことに変わりはなく、滞納が数か月続けば、競売
手続を取られてしまい、最終的には退去することに
なります。
妻が銀行に対して夫と取り交わした公正証書を見せても
銀行にとっては夫婦間での公正証書の取り決めは無関係
であり、滞納の事実は変わりません。
夫が安定した職業(大企業・公務員)の場合には、住宅ローン
が支払われなくなる可能性は低いため、あまりリスクはないと
思われます。
ただ、職を転々と変える夫や、他の女性と再婚予定のある夫
の場合には、支払われなくなる可能性が高いので、住宅ロー
ンの肩代わりや、いずれは退去する、というリスクが伴います。
妻側としては今まで住んでいた家に住み続けられ、離婚後
の住宅費がかからないというメリットもありますので、
ご自身にとってメリットとデメリットを見極めながら判断する
ことが必要となります。
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