カネを刷れば円安にできるのに、円高を放置した日銀の責任は大きい(高橋洋一氏) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

カネを刷れば円安にできるのに、円高を放置した日銀の責任は大きい(高橋洋一氏)

秘書です。
まずは、下記の日銀総裁発言をご覧ください。


【挨拶】日本経済:現状、見通し、課題
名古屋での経済界代表者との懇談における挨拶
日本銀行総裁 白川 方明
2011年11月28日
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/ko111128b.htm/
「円高に関連して、現在、特に問題となっているのは、これにより企業の海外生産シフトが加速し、国内産業が空洞化する可能性です。日本企業による海外生産の増加という流れ自体は、基本的には、世界の成長センターが新興国に移っているという大きな構造変化のもとで、企業の成長戦略の一環として、需要の拡大している市場の近くに生産拠点を設ける動きであると理解しています。ただ、そのペースはその時々の為替相場の動向にも左右されます。皆さまもご記憶のように、2000年代半ば過ぎにかけて大きく円安に振れ、国内生産の採算が一時的に大幅に好転した局面では、海外シフトの動きが一服して生産の国内回帰がみられましたしかし、リーマン・ショックの余波や欧州ソブリン問題が長引く中で、それらが表面化する前に比べて円高な水準が定着するにつれ、もともとグローバル市場の拡大に合わせて進められてきていた海外生産シフトへと、企業の戦略が再び戻りつつあります。従って、この戦略過渡期においては、海外生産シフトは傾向として過去の平均的なペースに比べて速まることになりますその際、海外生産シフトがあまりに急速に進展すれば、国内で新たな雇用吸収の場を生み出すペースが追いつかなくなる可能性がありますし、長い目でみて競争力がある中核的な企業や工場までもが海外シフトしてしまった場合、あとで円高が是正されてもその国内復帰は難しくなります。これらのリスクを含めて、最近の円高が日本経済に与える影響については十分注意する必要があると考えています。」

→その上で、下記の記事をお読みください。

エルピーダ破綻の陰に政府・日銀の失政
2012.03.04zakzak高橋洋一氏
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120304/plt1203040836000-n1.htm
 パソコン自作を趣味とする筆者は、秋葉原を巡ってメモリーを購入する。円高になるとメモリー価格はすぐ低下する。筆者の自作メインマシンは32GBのメモリーを積んでいる。半年前で2万円程度だったのが今や1万2000円程度だ。メモリーモジュールは、サムスン(韓国)、ハイニックス(韓国)、エルピーダメモリ(日本)、マイクロン(米国)がほとんどだ。

 そのエルピーダメモリが、2月27日、会社更生法の適用を東京地方裁判所に申請した。同社は、2009年6月、産活法(産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法)の適用を受け、公的資金300億円、政府保証融資100億円を受けていた。秋葉原には、国産メモリーとして応援していた店もあった。

 27日の記者会見でも坂本幸雄社長の発言は当事者の苦悩を表していた。

 「為替については、リーマン・ショック前と今とを比べると、韓国のウォンとは70%もの差がある。70%の差は、テクノロジーで2世代先に行かないとペイしない。為替が、完全に競争力を失わせている。70%の差はいかんともしがたい。それを除けば、エルピーダのDRAMの損益は圧倒的にいい。為替変動の大きさは、企業の努力ではカバーしきれないほどだ」

 何とも痛々しい話だ。メモリーは汎用(はんよう)品で、あまり製品の差別化ができないが、エルピーダのものは品質が良く、パソコン自作につきものの相性問題がすくないといわれていた。それでも、そんな技術力の差は為替が吹っ飛ばすということだ。

 私見であるが、高度成長期の原動力も筆者は為替であったと思っている。本稿では、ソロスチャートを何度か紹介した。それで為替が決定されるとして、そのレートを計算すると、1985年9月のプラザ合意以降、ほとんど実際の為替レートをうまく説明しているが、それ以前は実際の為替レートは大幅な円安だ。

 プラザ合意は、市場で決まる為替レートへの移行であり、それ以前は意図的な円安であった。日本の技術水準は高かったが、それを生かすも殺すも為替レートであり、価格競争力がなければ、技術をアピールすることもできなくなる。最近、韓国企業が好調というのも、ひとえにウォン安政策の賜だろう。

 日本は、エルピーダをめぐり、意味のない官製再生を行ったが、市場経済のわからない官僚に企業再生は無理な相談だ。同社株をめぐっては官僚の違法なインサイダー取引もあった。公的資金も280億円は返ってこない。

 その一方、カネを刷れば円安にできるのに、円高を放置した日銀の責任は大きい。この構図は、日本を代表する電機メーカーや自動車産業などでも共通している政策の失敗だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

→日銀と民主党政権の確信犯的な円高による産業構造転換が進んでいるわけです。そして、転換する先が見えない。