自民党は、日銀法改正の先頭に立つべきである。(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

自民党は、日銀法改正の先頭に立つべきである。(中川秀直)

日本銀行が14日の金融政策決定会合で消費者物価の伸び率について当面、年1%を目指すと決めた。それを受けて、安住財務相は記者団に対し「実質的にインフレターゲット(目標)を設定したと受け止めている。デフレ脱却に向けた積極的な措置として大いに歓迎した」と持ち上げた。政府は「実質的にインフレ目標だ」と歓迎しているようだが、「実質的なインフレ目標」と「インフレ目標」は似て非なるものである。

日銀は「目標」の言葉を使っていない。問題は「目標」の言葉を見送った理由である。白川総裁の14日の記者会見で「デフレ脱却は金融政策だけで実現するとは考えていない。急速な高齢化の下で、成長率の低下という長期的構造的な課題に直面している。デフレからの脱却は成長力強化の努力と、金融面からの後押しを通じて実現されていくものだ」との発言である。

「デフレ脱却は金融政策だけで実現するとは考えていない」という認識が問題なのである。デフレは貨幣的な現象であり、デフレ脱却は金融政策で実現すべきものである。だから明確なインフレ目標を掲げ、達成できなければ責任が問われるのである。

肝心なことは、世界の先進国で、日本のみが長期デフレを続けていることである。日銀の金融政策の過ちである。

私が官房長官のときの2000年、日銀は政策判断を誤った。
私が自民党政調会長のときの2006年、日銀は政策判断を誤った。
私が自民党幹事長のときの2007年、日銀は政策判断を誤った。

これらの日銀の政策判断ミスを止めることができなかったことについては、私は当時の政府・与党の一員としての責任がある。その責任感に基づいて、私は日銀法改正を主張している。

理由は日銀の過剰な独立性のためである。日銀は手段に独立性はあるが目標に独立性はないのが世界の常識であるが、日本ではそう解釈されていない。

世界の先進国の中央銀行が導入している「インフレ目標」を導入していれば、このような政策判断ミスはなかったし、未だにこれらの政策判断ミスを認めないというようなことも起らなかったであろう。そしてデフレを克服できず、自民党は政権の座を失った。

成功しない程度の小さすぎて遅すぎる金融政策、金融政策の成功を確認する前のフォワードルッキングな金融政策をいつまで続けるのか。歴代首相の多くは政権末期になって、ようやく日銀の問題に気づく。そして気づいた時には手遅れになっている。

自民党は、日銀法改正の先頭に立つべきである。消費増税の前に日銀法改正してインフレ目標導入をと主張すべきである。

デフレ脱却こそが、日本の最優先政策課題だからである。

(2月15日記)