OECD提言の中で、円高・デフレ・増税統一戦線派にとって不都合そうな提言部分 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

OECD提言の中で、円高・デフレ・増税統一戦線派にとって不都合そうな提言部分

秘書です。
OECDのレポートが、円高・デフレ・増税統一戦線派に不都合な提言が黙殺されるかもしれませんので、円高・デフレ・増税統一戦線派に不都合そうなOECDの提言をここに記しておきましょう。


OECD: 財政健全化の遅れは長期金利高騰リスク高める-日本経済(
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aJTflodCSIl4
 11月28日(ブルームバーグ):経済協力開発機構(OECD)は28日、加盟国経済の見通しを公表し、日本経済については「財政健全化の遅れと公的債務残高比率の継続的な上昇は長期金利高騰のリスクを高める」と指摘、財政再建に注力するよう求めた。その上で、2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を実現する政府目標へ向け、「財政健全化計画が最優先事項」との見方を示した。

  さらに、財政健全化や経済成長を促すため、税制改革に率先して取り組むべきだとし、法人税率の引き下げのほか、消費税を「追加的な歳入の主要な源」とするよう求めた。日本銀行に対しては、デフレ脱却へ量的緩和を拡大すべきだとした。

  一方、日本経済の見通しについては、「復興支出に支えられ、2012年に2%拡大する」と見込んでいる。半面、デフレ圧力が「13年を通して成長への逆風であり続けるかもしれない」との懸念を示した。

では、OECDは日本についてどのように言っているのか?

OECD東京センターのエコノミックアウトルック№90の日本語資料より
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/20111128eo90.pdf

景気拡大は、2013 年を通して続くと見込まれている…

経済は、公的及び民間部門における復興支出に支えられ、2012 年に2%拡大すると見込まれている。公共投資の成長率への寄与が弱まるにつれ、景気拡大のペースは緩やかになるであろう。それにもかかわ
らず、設備及び住宅投資は、2013 年をとおして回復の持続を支えると期待されている。さらに、2012-13 年における世界貿易の持ち直しは日本の輸出を押し上げるであろう。デフレの圧力は、しかしながら、2013 年を通して成長への逆風であり続けるかもしれない

→デフレ圧力への警戒感は今日の日銀総裁講演ではこの点はどう触れていたのでしょうか。まさか「良いデフレと悪いデフレがある」などとはおっしゃっていなかったとは思いますが、デフレが成長への逆風という認識を日銀総裁が持っているかどうかですね。

… 国内外における多くのリスクがあるけれども

福島の原子力発電所の事故を受けて、日本の電力の3 分の1近くを供給していた日本における原子力発電所の多くが保安検査のため停止されている。こうした発電所における再稼動– または、代替的なエネルギー源の確保 –の遅れは経済成長を抑制するかもしれない。加えて、財政健全化の遅れと公的債務残高比率の継続的な上昇は長期金利高騰のリスクを高める。最後に、世界経済の急激な悪化といったリスクは予測に関する非常に大きな不確実性をもたらしている。

→「経済成長を抑制するかもしれない。加えて、・・・」の「加えて」以下の部分だけを、円高・デフレ・増税統一戦線派は強調することになるでしょう。

下方リスクが顕在化した場合の政策

仮にそうした下方リスクが顕在化した場合、OECD は戦略的対応の一環として、鍵となるマクロ経済政策、及び成長を引き上げるために不可欠となる構造改革(いずれにしても望ましいものであるが)を定めている。


■5年間でGDP の4%程度にのぼる復興支出は、短期的に日本の財政状況をさらに悪化させている。2012-13 年における財政赤字が9½%程度(GDP 比、一時要因を除く。)であり、グロスの公的債務残高がほぼ230%(GDP 比)に上昇すると見込まれる中、日本は、経済活動の新たな弱さに対処するため追加
的な財政対策を行う余地はない。そうした事態においては、いずれにしても比較的に小規模ではあるが、自動安定化機能を少なくとも部分的に弱めざるをえないであろう。

■2020 年度までに基礎的財政収支黒字を実現し、公的債務残高比率を安定化させるといった政府の目標を達成するために詳細かつ信認のおける財政健全化計画が最優先事項である。財政状況の大幅な悪化及び今後長くにわたる財政健全化の期間を考慮する場合、財政政策の枠組みの改善はそうした計画の信頼性を強化することに役立つであろう。鍵となる改革は、政策策定過程から一定の距離をおいて客観的な財政評価機能を果たす会議体の創設や中長期の財政目標についてより強い法的根拠を設けることを含むべきである

→OECDはより強固なガバナンスを望んでいるようですね。

■実質的なゼロ金利政策の維持に加え、日本銀行は、共通担保資金供給オペレーションや資産買入プログラムをさらに拡大させるべきである。こうした量的緩和策は経済の弱さに対処するため更に拡大され、10 年間以上続くデフレの明確な終焉をもたらすことに役立つべきである。

→OECDは現在の日銀の政策は付則しており、一刻も早く明確にデフレを終焉させるよう提案しています。日銀総裁は欧州危機のせいにしていてはいけません。自国でやるべきことをやりましょう。

■ 日本のグローバル経済への統合を促進することは成長を押し上げるであろう。新成長戦略に沿って輸入、資本、労働の流入にかかる障壁を除くことは、それゆえに最優先事項である。高い水準の農業保護の引き下げとともに、そうした改革は、TPP や主要な貿易相手国との自由貿易協定への参加を促すであろう。

■財政健全化に向け歳入を生み出すことに加え、経済成長を促進するために税制改革が優先事項となる。改革により直接税の課税ベースを拡大する一方で、法人税率を引き下げるべきである。他の税に比べ経済成長への負の影響がより小さい消費税は追加的な歳入の主要な源となるべきである。グリーン成長の促進に役立つことを含め、環境税もまた担うべき役割を持つ。

→これまた円高・デフレ・増税統一戦線派には不都合な提案ですね。経済成長を促進するための税制改革が優先課題!