経済状況好転してます?:税制改正法付則104条の前提条件は崩れてませんか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

経済状況好転してます?:税制改正法付則104条の前提条件は崩れてませんか?

秘書です。

所得税法等の一部を改正する法律附則第104条を学習しましょう!


■いよいよ民主党の内乱起こりそう 菅・与謝野の「詭弁」に反発
2011/2/10 17:01 JCASTニュース 高橋洋一の民主党ウォッチ

国会がはじまったが、菅政権はまともに答弁できていない。特に与謝野馨氏が経済財政担当相として入閣して、与謝野大臣に菅総理が引きずられている。また与謝野大臣のこれまでの言動からの変節も目立っている。このままでは、国会で持たないばかりか、身内の民主党内から菅降ろしがはじまるだろう。

ポイントは増税の扱いだ。政権交代を成し遂げたマニフェスト2009では、増税の気配もない。「税金のムダづかいを徹底的になくし、国民生活の立て直しに使う」とか「税金のムダづかいと天下りを根絶します」とか主張していたが、結局実行しておらず、今から考えるとまったく詐欺のような言葉が何度も出てくる。

「増税はしない」が法案成立はさせる
菅政権になって、惨敗した昨10年の参議院選挙の際のマニフェストでは「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します」となっている。しかし、こうした趣旨の首相発言で参議院選挙は負けたようなものだ。

菅総理はますます増税に前のめりになっている。11年2月2日、衆議院予算委員会で、江田憲司議員(みんなの党)の質問に対して、菅総理は「基本的には2013年8月までは消費税の増税はしない」と答弁した。ひょっとしたら増税は後退かなと思わせた。

ところが、与謝野大臣は11年2月5日の会議後会見で「11年度に法案成立させることが内閣の義務だ」と発言した。

すると、与謝野大臣に引きずられて、菅総理は、2月9日の党首討論で、谷垣禎一自民党総裁に対して、消費税率引き上げを含む税制の抜本改革について「2011年度末までに何らかの法的対応をしないといけない」と述べ、12年3月末までに法案提出を目指す考えを表明した。「増税は後退かな」と思わせた2月2日の江田議員に対する答弁から一転、増税へ向けさらに進んだ。

与謝野大臣は、09年度の税制改正法付則104条に、「遅滞なく、かつ、抜本的に消費税を含む税の抜本的改革を段階的に行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と書かれていることを強調している

しかし、よく法律を読んでみよう。その付則には「平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として」と書かれている。「平成二十年度を含む三年以内」とは、2008年4月から11年3月までだ。この間にまともに景気回復の取り組みはなされておらず、デフレから脱却できず、経済状況も好転しているとはいえない。ということは、付則の前提条件が崩れている

こうした常識にも関わらず、菅総理の言い分は、12年3月までに増税法案を出すが、13年8月までに実際の増税はしないという、いかにも草冠がとれた「菅」総理らしい「官」僚詭弁である。

2月中に民主党の危機が訪れる?
普通の人の感覚は、民主党は4年間増税しないといったのだから、その間は増税法案も出さないと思うだろう。小泉総理も「任期中は増税しない」といって、その通り増税法案の用意もしなかった。小泉総理は、増税の前にやることがあるといって、国の資産売却や歳出カット、埋蔵金発掘をどんどんやって、「国民からもうやめてください。増税してください」とお願いがきたらやればいいし、それまではやらないといっていた。

それにしても、菅総理は変節の激しい与謝野大臣について行って大丈夫だろうか。与謝野大臣は、2月7日の衆議院予算委員会で、竹内譲衆議院議員(公明党)に対し「子育て世代のほとんどの方はぎりぎりのところで生活されているので、生活にあてられるということが容易に想像できる」と子ども手当が消費に回るとして経済効果があると答えた。

ところが、与謝野氏の自著「民主党が日本経済を破壊する」の56ページに、「公共事業などを抑制する代わりに子ども手当てなどを手厚く支給する『直接給付』でとたんに家計の懐が暖かくなり、個人消費が急増して景気がよくなるような説明を(民主党は)している。冗談ではない。『子ども手当』と名前をつけてお金を配っても、親がこどものための消費に回す保証などどこにもない」と書かれている。随分と変節するものだ。

民主党は、マニフェストを改悪し、増税へと突き進んでいる。党内からも待ったが出そうだ。デフレ脱却に向けて日銀法の改正を目指す民主党の「日本銀行のあり方を考える議員連盟(仮称)」(代表発起人・川上義博参院議員ら)が近く発足する予定だ。メンバーのひとりは「今のデフレで財政再建だと言って、税収を上げようというやつは国賊だ」と与謝野大臣を批判。執行部に批判的な鳩山由紀夫前首相も参加を予定している。

河村・大村コンビが減税を掲げて勝利した愛知のトリプル選挙の影響も大きい。いよいよ民主党の内乱が起こりそうだ。これでは予算成立も危うい。2月中にも民主党の危機が訪れるかもしれない。


→さて、「平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させる」との前提はどうなってますか?

→それとも、この「好転」という文言について、あの曲者的解釈をしてデフレ下でも増税を強行しますか?景気の谷を少しでもこえればいい、底打ちしたら増税してもいい、っていうあの解釈を民主党政権も踏襲するのでしょうか?二番底にならない保障はどこにあるのでしょう?


→以下の記事とブログから「好転」「回復」論争の基本を再学習しておきましょう。

■景気「好転」を「回復」に 消費増税条件で坂口氏
2008/12/21 17:26 共同通信
 公明党の坂口力元厚生労働相は21日のNHK番組で、2011年度からの消費税率引き上げを明記した政府の中期プログラム案に関し、「経済状況の好転14 件後に」とした部分を「経済状況が回復した上で」と修正すべきだとの考えを表明した。消費増税14 件実現へのハードルを上げたいとの狙いがある。

 自民、公明両党は21日も前日に続き、中期プログラムに関する与党プロジェクトチーム(PT、座長・額賀福志郎元財務相)の主要メンバーによる非公式協議を都内で開催。坂口氏は重ねて修正を求めたが、自民党側は受け入れず、平行線のままだった。22日も協議する。

 公明党は消費税率引き上げ時期の明示に難色を示していたが、景気回復が引き上げの前提条件としてより明確になるような記述とすることと引き換えに「11年度」の時期明記を容認する方針を自民党側に伝えている。

 同じ番組で自民党の園田博之政調会長代理は、3年後の消費税率引き上げを表明した麻生太郎首相について「首相は勇気があることを言い続けている。『そのうちにやりましょう』というのは正直ではない」と述べ、首相の意向を尊重すべきだとの認識を強調した。


2008-12-21 21:55:18
(景気と増税)「経済状況好転」と「景気回復」は似て非なるものであるテーマ:志士の目
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10181229977.html

→そして下記が、デフレ増税派にとっての「錦の御旗」の附則第104条です。

→このあと、どんなに景気がわるくても、それは「経済状況好転」といえるという、見事な霞が関文学が飛び出してくることでしょう。ご注目ください。


(参考)所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)(抄)

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei09/10/index.htm

   附 則
(税制の抜本的な改革に係る措置)
第104条 政府は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該改革は、2010年代(平成22年から平成31年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。
2  前項の改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとするものとし、当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行われるものとする。
3  第1項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする。

一 個人所得課税については、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組の中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること並びに金融所得課税の一体化を更に推進すること。
二 法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。第五号において同じ。)の拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討すること。
三 消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられることが予算及び決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること。その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等の総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討すること。
四 自動車関係諸税については、簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制の在り方及び暫定税率(租税特別措置法及び地方税法(昭和25年法律第226号)附則に基づく特例による税率をいう。)を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討すること。
五 資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベース、税率構造等を見直し、負担の適正化を検討すること。
六 納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上及び課税の適正化を図ること。
七 地方税制については、地方分権の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めること。
八 低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化(環境への負荷の低減に資するための見直しをいう。)を推進すること。