日銀法改正を邪魔する与党事前審査?:さて与党事前審査の原点はどこでしょう? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日銀法改正を邪魔する与党事前審査?:さて与党事前審査の原点はどこでしょう?

秘書です。

今の与党・民主党も、事前審査が日銀法改正案のネックになっているみたいですね。

ところで、自民党の事前審査の原点あどこにあるのでしょう。

事前審査の原点をさぐってみましょう。

(熟議の国会をつくるには、この原点にさかのぼってねじれ国会に対応するしかないですよ)



(1)内閣提出法案について

与党による事前審査の成立は、池田内閣の大平正芳化某長官に赤城宗徳総務会長が行った1962年2月23日付けの申し入れが原点。

以後、内閣提出法案は、与党事前審査→総務会の党議決定→閣議決定→国会提出という「慣行」成立

→申し入れ全文は、星浩(2004)「自民党政調会と政策決定過程」『現在日本政党史録』第5巻、pp.412-413.


(2)議員立法について

議員運営委員長に就任した石田博英が「与党議員の法律案提出には必ず党機関(総務会、政務調査会、国家対策委員会)の同意を必要とするという与党の内規を定め、3機関の責任者の承認印のないものは国会事務局において受け付けてはならない」という指示をだしたことが原点。

→石田博英(1952)「法律と予算の関係について」『ジュリスト』1952年8月1日号、p.18.


1990年代後半に議員立法を行おうとしたある代議士(たぶん、河野太郎先生ですね!)は、衆議院事務局より「第13回国会の昭和27年4月24日に自由党の増田甲子七幹事長から、4役の署名のない法案提出は認めない旨の申し入れがあり、それが前例になって昭和30年の保守合同で自民党になってからも幹事長が代わるたびに幹事長のお名前で衆議院宛てに申し入れがあります」との返答を得ている。

→河野太郎(2003)『河野太郎の国会攻略本』、p.76.


(以上、小宮京(2005)「吉田茂の政治指導と党組織」『日本政治研究』2(1)P.149.)



さて、衆参両院で自民党が過半数のときの政府・与党間の政策決定プロセスの慣行は、ねじれ国会の現在、意味のないものもあるのではないでしょうか?

ねじれ国会は与野党修正しないと法案は成立しないでしょう。事前に党議決定しても、修正は不可避です。

党議決定すればメンツもあって修正できない。

修正後に党議決定すればいいではないですか?


そもそも、民主党の法案事前審査のプロセスはどんななんでしょう。そして議員立法の提出制限の根拠は??




ちなみに、

自民党国家戦略本部国家ビジョン策定委員会が2002年3月13日にまとめた「政治システム保岡興治(New Decision-Making System)―「個別利害調整・サービス型」から「理念に基づく、国家戦略・国家経営型」政治へ-」は、

「昭和37年に、赤城総務会長が政府に申し入れたことから「慣行」として確立されてきたわが党の事前承認制度は廃止する」

としています。

下記が全文です。




Ⅱ.長年の慣行である事前承認制は廃止する

内閣・与党の政策決定一元化

首相は、全国民の代表たる国会議員で構成された国会により選任され、内閣を構成し、国会を通じてその責任を国民に負う。したがって、首相は、国会に対して、内閣の提出案件を決定し、その責任を負う。決定と責任の所在が一致すべきことは明確である。したがって、昭和37 年に、赤城総務会長が政府に申し入れたことから「慣行」として確立されてきたわが党の事前承認制は廃止する。
しかし、これは官僚主導で政策決定がなされることを意味するものではない。政策の立案はあくまでも首相及び大臣・副大臣・政務官を中心とする政治家によって行われるべきものである。官僚は、政策の選択肢を提示することなどを通じて政治家を補佐する。
個別の行政執行は、法律や予算に基づいて厳正かつ中立的に行われるべきである。官僚が恣意的な行政運営を行うことなく、立法趣旨や予算編成方針などにのっとっていることを国民が監視できるように、透明性・公開性に十分配慮した仕組みを構築すべきである。
こうした制度の確立を前提に、政治家の行政執行に対する過剰な介入を大幅に減らしていくべきである。

事前承認制から事前の審議制へ

内閣は、国会に案件を提出する際、党の事前承認を条件としない。党は、国会提出案件につき事前に審議し、国民の身近にいる立場からその幅広いニーズを内閣に伝える。
党は、その存立にかかる案件や、選挙で公約した範囲で、内閣提出案件につき党議拘束をかける。但し、総務会において特に必要を認めた案件については例外とする。


Ⅲ:全会一致制から多数決制へ

~党の政策審議の合理化・簡略化~

内閣の国会提出案件成立の効率性を高めるため、過去のわが党の政策決定は、全会一致方式を採ってきた。しかし、大転換期に新しい方向を見出し、理念や価値を選択し、迅速な意思決定を行うため、党の政策審議を以下のように改める。
○ 総務会・政調審議会の人選方法を改め、意思決定に多数決制を導入する。
○ 部会は、内閣提出案件につき、事前に説明を受け、論議する。
部会で了解された案件については、事前の審議を終了し、内閣は国会に提出する。尚、部会長・政調会長が必要と判断した案件は、政調審議会に諮ることとする。
○ 政調審議会は、原則として、内閣提出案件の最終的な審議の場とする。尚、政調会長・総務会長が重要と判断した案件については、総務会に諮ることとする。
総務会は、国会提出案件につき了解できない場合は、党議拘束の例外とすることができる
党議拘束のない案件については、国会の場で審議を尽くし、場合によっては修正し、委員会の採決前に、総務会が改めて党議拘束をかけるかどうかを最終決定する
○ 内閣の提出案件の内容や党議拘束に意義のある少数意見を尊重するため、党の存立や基本的政策に反する場合を除き、その申し出により、その意見に基づく国会審議を認めたり、総務会においてその者に対し党議拘束を解くことができる。
○ 部会、政調審議会、総務会の政策決定過程は、極力透明化を図る。
○ 党は戦略的・体系的に政策を総合化し、省庁横断的政策課題ごとに調査会・委員会を整理し、政策立案機能を強化して、内閣の政治主導を支援する。
○ 政調審議会のメンバーは、整理された新しい調査会・委員会の長で構成する。

http://www.y-shiozaki.or.jp/pdf/contribution/020313_2.pdf


→マニフェストで国民に約束したこと以外のことについて、議員が議案提出することは党が拘束しない、本会議採決の際に党議拘束すべきかどうかを含めて検討する、というのが熟議の国会のルールではないでしょうか?

→日銀法改正の各党議員立法コンテストで試してみませんか?