終身正規雇用VS非正規雇用:「成長・正社員・非正規社員」3者関係論 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

終身正規雇用VS非正規雇用:「成長・正社員・非正規社員」3者関係論

秘書です。

民主党は終身雇用制度をセーフティネットと位置付けました。
しかし、現在、終身雇用の恩恵を受けているひとはどれだけいるのでしょう。
公務員、大企業はそうでしょう。
大企業でも50代になると、厳しい選別が待っているのでは?
関連会社に出向し給料は下がり。

民主党が本気で日本全体を終身雇用にしたいなら、高度成長期のように失業率1%という超人手不足の経済をつくるしかない。

それが成長経済でしょう。ところが民主党は成長には後ろ向きでいまは堅めの成長率しかいっていない。

堅めの成長率のものと、どうやって正規・非正規の格差をうめるのか?


■非正規の待遇改善議論 厚労省審議会 企業の負担増懸念も
(2010年10月27日 読売新聞)

 厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会が26日開かれ、契約社員など期間を区切って働く「有期契約社員」の待遇改善を目指す新たなルール作りの議論が始まった。非正規社員の処遇改善のため、正社員への門戸をさらに開くかどうかなどが検討される。しかし、経済界には、景気に応じて雇用を増やしたり減らしたりしにくくなり、企業の負担が重くなるとの懸念が根強い。(山本正実)

 審議会は、労働組合や企業の代表者らが議論し、雇用契約の更新回数や契約期間に制限を設けるかどうかが論点になる。

 現在、企業は、忙しい時期には契約を更新して労働力を確保する一方、閑散期には契約を打ち切り、人件費を節約している。有期契約社員には「いつまで雇われるか先行きが不透明なのに、正社員と同じ仕事をしても給与が低い」との不満がある。

 このため、上限を設けた更新回数を超えて契約を続ける場合は、自動的に正社員に登用されたり、契約打ち切りを禁じたりする制度づくりが議論される見通しだ。

 これに対し、人件費負担が膨らむ企業側の反発は強い。日本経団連の米倉弘昌会長は25日の記者会見で、有期契約への規制を「間違いだ」と指摘した。景気回復が遅れる中で、さらに負担が増えれば「(雇用確保に)慎重にならざるを得ない」との危機感は強い。

 スウェーデンが2007年に行った雇用改革は、企業が自由に有期契約を結べるよう規制を緩和した一方で、正社員への転換も義務づけた

 企業負担ばかり増えれば、雇用減や企業の海外移転が加速しかねない。日本総研の山田久・主席研究員は「非正規社員の保護を強めるなら、人件費の高い正社員の雇用も同時に見直すべきだ」と指摘する。


→どう見直すべきか。2009年の『経済財政白書』は以下のように書いています。

●厳しい雇用保護規制は非正規雇用比率を高める傾向

雇用保護規制の度合いは、雇用形態の変化とどのように関係するだろうか。前述のとおり、
アメリカや英国では臨時雇用比率がそれほど高くなかった。これは、これらの国では雇用保護
が全般的に緩いため、労働市場の柔軟化のために臨時雇用という形態に大きく依存する必要が
なかったとも解釈できる。こうした関係が、広くOECD 諸国一般に当てはまるかを調べよう。
結果は以下のように要約できる。

第一に、予想されたとおり、雇用保護規制が厳しい国ほど非正規雇用比率が高い、という傾
向が観察される。

第二に、我が国は雇用保護規制の度合いはやや緩めであるが、非正規雇用比率はそれから平
均的に予想される水準より高めである。
第三に、ドイツ、イタリアなどの主要な大陸欧州諸国で、雇用保護規制の度合い、非正規雇
用比率がともに高い
。一方、アメリカ、英国などは雇用保護の度合いは緩いが、非正規雇用比
はそれから予想される水準より低めである。

なお、雇用保護指標のうち常用雇用要因と集団解雇要因のみを用いた場合でも、非正規雇用
比率との間に同様の関係が見られる。



→「雇用保護規制が厳しい国ほど非正規雇用比率が高い」。つまり、非正規雇用が増えるのは、正規雇用保護規制が厳しいからでは?

→さて、成長と正社員の雇用保護規制と非正規雇用比率の3者関係は、以下のような関係にあります。

①「低成長で正社員の雇用保護規制を守り続けるなら、非正規雇用比率は高くなる」


②「低成長で非正規雇用比率を低くするなら、正社員の雇用保護規制は緩和すべき」

③「正社員の雇用保護規制を守り続け、非正規雇用比率を低くするなら、成長率を高めるべき」



高度経済成長期の日本的経営、家族的経営といわれたものは③です。
ところが成長率が低くなった。民主党も含めて成長はもういい、堅めの成長でいいといいはじめた。


残る選択肢は①か②です。

民主党の固定的支持層は①に利益があります。しかし無党派は②でしょう。

この矛盾を回避する策は成長しかありませんが、「増税すればするほど成長する」などという菅エコノミクスは失敗することでしょう。

もう市場原理主義者の責任にすることはできません。民主党政権は1年が経ってますから。

民主党は①「低成長で、正社員の雇用保護規制を守り続けることを、非正規雇用比率は高くなることよりも優先する」のか?

それとも民主党は②「低成長で、非正規雇用比率を低くすることを、正社員の雇用保護規制を守ることよりも優先する」のか?