(総裁選)若手を支えることはあっても、つぶすようなことはしてはいけない | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

(総裁選)若手を支えることはあっても、つぶすようなことはしてはいけない


下記の朝日新聞解説記事の結語にある「小泉改革の総括をしなかったため、後継政権の政策がぶれて総選挙の大敗につながった。総裁選が総括の場になるのか、今後の見どころだ」は、正論である。

自民党総裁選で、河野太郎さんは小泉改革を基本的に評価し、成長・改革と小さな政府の旗をしっかりと掲げている。私はこの総括が基本的に正しいと思う。

そして、世代交代を進めるべきという意見や、派閥支配はやめるべきだという意見も正しい。アメリカでは40代の大統領が政権を運営している。ベテランは求めに応じて手助けをすればいい。

特に、先の政権を先頭に立って支えたベテランのみなさんは、党運営について、しばらく謹慎されるべきではないか。若手を支えることはあっても、つぶすようなことはしてはいけない。

背水の陣の野党・自民党は「弁論」によって復活するしかない。自民党総裁選で魂のこもった論戦が今後も続くことに期待したい。(9月20日記)

(参照記事)朝日新聞「自民総裁選討論会」「重鎮支配巡り舌戦」「森氏らの退場名指しで迫る」「大きな政府か小さな政府か」

「自民党再生に何が必要か――。19日、自民党総裁選に立候補している西村康稔・前外務政務官(46)、河野太郎・元法務副大臣(46)、谷垣禎一・元財務相(64)の3人が日本記者クラブ主催の公開討論会に臨んだ。河野氏が過激な発言で討論をリード。森喜朗元首相ら重鎮に退場を迫るなど、党運営や党の体質を変えるよう強く求めた。党内融和を唱える谷垣氏は小泉改革の是非など政策論争に引き戻そうとしたが、総裁選は世代交代や重鎮支配の是非が争点になりそうだ。

3日前誕生した民主党政権の閣僚が総選挙のマニフェスト(政権公約)に沿って次々と政策を打ち出し、自民党の影が薄まる中、河野氏が白熱した議論を呼び起こしている。『誰を排除せよという議論より、全員野球でやらなきゃダメだと思います』。党内融和を掲げ、ベテラン勢の支持を受ける谷垣氏が、前日の記者会見で森元首相に政界引退を迫った河野氏の言動をいさめるように語ると、河野氏はこう言い返した。

『全員野球には私は反対です。あしき体質を引きずっている人はベンチに入れるべきではない』。この日は森氏だけにとどまらず、参院自民党のドン、青木幹雄氏も名指しで批判。さらに最大派閥・町村派会長の町村信孝氏らを念頭に『派閥の親分でありながら、小選挙区で当選されず比例代表で上がった方は、比例の議席を次の順番の若い世代に譲って頂きたい』と挑発を続けた。

谷垣氏は各派閥に広く支持を広げるが、今回は党員投票に基づく地方票(300)が国会議員票(199)を上回る。河野氏は『世論の支持をいただいて党員票に重きを置く戦略』と明言。森氏に象徴される『古い自民党』を一掃しなければ党は再生しないと訴える作戦は『自民党をぶっ壊す』と言って首相になった小泉純一郎氏をほうふつとさせる。

河野氏は総選挙前にみんなの党の渡辺喜美代表から『君は党首だ』と離党を持ちかけられたことも明かし、『自民党が再生できなかったら、みんなの党と一緒にやるかは別にして、何らかのことを考えることはあり得る』と表明。負ければ離党する可能性を示唆し、背水の陣を敷いた。

河野氏の矛先は、同い年の西村氏にも向けられた。質問の冒頭、いきなり『中堅・若手候補が2人いる。決選投票になったら2、3位連合しますか。谷垣さんが勝っても構わないのか』と迫ったのだ。西村氏は、森氏らベテラン勢の覚えが良く、『若手分断のため擁立された』との見方がある。河野氏の質問は、世代交代に対する自らの真剣さと西村氏のあいまいさをあぶり出す狙いがあった。

西村氏は『河野さんとは政策や手法の違いがある』と連携を拒み、『私の立候補は谷垣さんを助けるためを言われているが大変失礼』。自らは町村派を退会したことを強調し、『河野さんはお父さんが作った河野派、今は麻生派。派閥を出られますか』と逆襲に転じた。

河野氏は『私は推薦人20人と一緒に出たいと思うが、森喜朗さんのクモの巣に絡め取られている人に派閥を出ようというのは厳しい』と反発。重要なのは形式的な『派閥解消』ではなく、総裁に人事権や資金を集中させて意思決定を一元化することだと訴えた。さらに『町村さんが私の推薦人に電話し、河野太郎の推薦人になるなとやった』と暴露。河野氏から『こういう派閥の親分をどう思うか』と攻められた西村氏は『私のことをおもんぱかってくれたのかもしれない』と擁護した。

国会議員票で優位とされる谷垣氏。候補者同士が質問し合う時間になると、追い上げを図る河野氏を真っ先に指名し、こう切り出した。『まずうかがいたい。自民党が(今後)何をしていく政党であるのか』。テーマは、新しい自民党が志向するのは『大きな政府』か『小さな政府』か。小さな政府に突き進んだ小泉構造改革の結果、地方経済が疲弊し、そこを財政支援などの目配りで立て直す。谷垣氏が繰り返し口にする『絆』の理念は、『小さな政府』を軌道修正する案だ。

『方向性として(小泉元首相が掲げた)官から民へ、中央から地方へという動きは正しかった』と答える河野氏。しかし、谷垣氏は、勝者が豊かになればその富が中間層にしたたり落ちて経済全体を成長させる――という小泉改革の根底にある考え方を『現実に起きたことは(資金が)海外に流れた。やはり地方にカネが流れる仕組みをつくる必要がある』と批判した。

ただ、小泉内閣で財務相として三位一体改革を進めた谷垣氏は、すねに傷を持つのも事実。小さな政府論を唱える西村氏から『責任を感じているか、いないのか』と迫られると、『(その後)政調会長の時も若干の手当はした』と歯切れが悪かった。小泉改革の総括をしなかったため、後継政権の政策がぶれて総選挙の大敗につながった。総裁選が総括の場になるのか、今後の見どころだ」