"中坊進二が京都の一人旅で訪れた場所では、南禅寺のエリアにある金地院も大変に印象的でした。小堀遠州作と伝わる枯山水庭園を見ることが第一の目的だったのですが、実際に訪れると他にも様々な名所があることが分かりました。この庭園は鶴亀の庭と呼ばれることもあって、縁起の良さも特徴的になっていました。中坊進二は岩石にも造詣が深いですから、枯山水に使われている庭石にも注目してみました。枯山水は海や湖を模しているのに対して、庭石が起伏のある島を表現しているように感じました。

金地院の本堂は大方丈と呼ばれる名建築で、内部には極彩色の障壁画がありました。この障壁画も由緒あるもので、歴史を感じさせるだけの重厚感がありました。大方丈の内部を観察していると、京都で活躍した職人の創意工夫も実感することができました。

京都の金地院は徳川家との関係も深いことから、内部には東照宮が建立されています。中坊進二が訪れたときには東照宮の拝殿も見てみたのですが、小規模ながらも繊細な様式美は見事なものだったのです。形式が異なる破風が重なった形で付けられていることも、中坊進二にとっては興味深いものでした。

境内の中を散策していると、明智門と呼ばれる建物も見えてきました。明智門の下側の部分は簡素な状態に感じられますが、屋根は唐破風を含めて圧倒的な迫力があります。明智門の背後には森林がありますから、秋の紅葉の時期に訪れたときには見事な景色を眺めることができました。"