あヴぁんだんど 2016.06.17 @ 新宿ロフト(中野ロープウェイ開店7周年記念)


セットリスト:
1. オンナノコヤマイ(新曲、作詞作曲編曲:つるうちはな)
2. あヴぁんだんど
3. Magical Symphonic Girl
4. Feedback Friday


ピチカートのSE、べにさん、こたおさん、夏季さんの順に登場。べにさんはテーマカラーのシフォンのリボンでまとめたツインテール、こたおさんは左横に髪をすこしだけ、べにさん同様のリボンでまとめて毛先は留めず、夏季さんは右横にやはり髪を少しだけまとめて、黄色のチャームをいくつかつけて、毛先にやはりリボンをつけて頭に沿わせています。

メンバーが座るフォーメーション、「文鳥」かな、と思っていると、これが新曲でした。新曲をやることは事前にアナウンスされていましたが、一曲目にやるとは意外でしたけれども。
曲はピアノに乗って始まり、夏季さんが一人客前に出ると静かに歌いはじめます。「大丈夫」「ここにいるよ」といった歌詞が聞こえます。フォーメーションは夏季さんの後ろに残りの二人が控えたかたちで、下手にこたおさん、上手にべにさん。

つるうちはなさんの曲はすべからく音楽の神様への信仰の告白なのではないかと考えますが、この曲も同様に思えます。初めて聞く曲であるにも関わらずヲタクがMIXやコールを掛けたくなるポイントをしっかり押さえた曲作りであることが明らかで、ヲタクどもは自在にそれらを掛け得るという、アイドルの曲としては理想的な構えであるはずですが、どこかに重さがあり、その重さは容易に動かすことが出来ないものであることが終始伝わってきます、すなわち、作者の音楽の神様への信仰の告白、帰依の意思表示であることから、この曲も免れ得てはいないのでしょう。
フォーメーションが入れ替わり、べにさんがセンター、夏季さんが上手。こたおさんは下手のまま。
べにさんのソロ、歌詞が聞き取りにくいのですが、「…してよ!」と、だれかに求めているようですね。女の子らしい要求の仕方の、提示でしょうか。
三人が交互にソロを取るのですが、歌の間の隙間の少ない曲だな、と感じます。まるで、音楽という生き物が、音の隙間を見つけるやいなや、とつぜん飛び込んでくるかのようにすら思われます。
また、飛び跳ねる振りが多いという印象を受けるのですが、さきほど記したこの曲の持つ重さは、そういったべにさんの振り付けによって中和されているのかもしれません、とするなら、この曲はまさしくあヴぁんだんどのための、あヴぁんだんどによって歌い踊られるべき曲なのでしょう。
振り付けに関して他に気づいたことを記すと、曲途中でセンターになったこたおさんが客席に背中というよりお尻を向けるようす、先日亡くなった蜷川幸雄さんの舞台演出を思い出すのですが、これは偶然の一致なのか時空を超えたシンクロニシティーなのか。
タイトルは終わってから知ったのですが、オンナノコヤマイ、女の子病、病としての女の子、といった具合に連想が誘われます。この曲は、裏返しの「Magical Symphonic Girl」というか、女の子という立場のマイナス面をあえて歌ってみた歌なのではないでしょうか。プラスであれ、マイナスであれ、輝かしくMagicalな存在としてであろうが、ネガティブな病としてであろうが、女の子という立場がそこにある、それは、なんというすばらしいことなのだろう。音楽の世界に容易に入ることが出来るがゆえにこそ、音楽の世界の住人であるからこそ、この世界に立場を求めることが容易でないひと、そういったひとからするなら、この世界にともかく居場所が、立場がある「女の子」とは、「女の子」であることとは、もうそれだけで幸せなのだという見方の提示、あるいは羨望の気持ちが、この曲では歌われているとわたくしは感じました。
曲のラストでメンバーは楯一列になります。奥からこたおさん、夏季さん、べにさん。べにさんのツインテールを左右の手で持ち上げる夏季さん。

二曲目「あヴぁんだんど」、イントロでべにさんが挨拶、こたおさんから始まるソロ、吼えるべにさん。べにさん「ま・わ・れー!」、三人で「センキュー!」

MC、べにさん「わたしたちー!」以下は普段どおり。
べにさん「まずは自己紹介から!あヴぁんだんどの…(最年少、と、言いかけたのでしょうか)、紅色担当!」、夏季さんはこの後の物販を欠席することをアナウンス、こたおさん「ちゅんちゅん…愛してまーす!今日で二週間になります!小鳥こたおです!」
クラッカーを鳴らす三人、臭いねとべにさん。
べにさんが新曲について「何の曲?『オンナノコヤマイ』」とタイトルをアナウンス、シンガーソングライターのつるうちはなさんの曲と紹介する夏季さん、実は夏季さんが最初に曲について語るシナリオだったところを出そびれたことが明かされます。

べにさん「つるうちさんの作ってくださった曲、ほかにもあります」、三人「せーの!『Magical Symphonic Girl』!」
三曲目「Magical Symphonic Girl」、「負けるな、負けるな…」と歌うべにさんの目にうっすらと光る涙、歌詞と今の自分の状況がシンクロしてしまったのでしょう、この歌詞が「虫歯イタイ」と泣いてもおかしくない歌詞に続いたのをみて、ほっとしましたけれども。
セリフのところは夏季さんの「愛されたくって」以下いつもと同じ、こたおさんは「緑色に…」のところで手を観客に差し出して触れさせる様子、ファンサービスを心がけていらっしゃるのが伝わってきます。続く「わたしだよ…信じてる」、べにさんが目にうっすらと涙を浮かべる様子がやはり歌詞とのシンクロニシティーを思わせます。そのべにさんはラストの「生きてる!」を叫ぶように歌います。

「Feedback Friday」のイントロ、べにさん「最後の曲です!」、イントロの間に客席から差し上げられたカンペによるMIXが唱えられます。
こたおさんのソロ、最前に押しかけたヲタクさんがサイリウムを客席と舞台との仕切りの柵と舞台との間に落としてしまったのを舞台上から見やる夏季さん。夏季さんはこの後に控える物販を体調ゆえに欠席するのですが、今日は目の周辺の化粧が強いように見えるのはお化粧ゆえなのか、体調の反映なのか。
「もっと!」煽るべにさん、新メンバー参加前よりも煽る姿勢が強くなったように思えるのは、あヴぁんだんどを引っ張っていく、これからもやっていくのだという意識の表れでしょうか。
「メリーゴーランド」ではこたおさんとべにさんがピルエット、先日はべにさんと夏季さんがピルエットをしていたように記憶しますので、こたおさんの踊りが上達したことと、夏季さんの体調とが今日のようなパフォーマンスにさせたのかもしれないなと思いつつ眺めていました。
オーラス、べにさんがクラウドサーフィン、そのまま客席奥まで運ばれたところで曲終わり。べにさん「帰らせて!」、客席中央から舞台へと戻ります。
こたおさん「お帰り!」、べにさん「楽しかったね!なっちゃん、お大事に!」、こたおさん「次のライブは明日です!」、べにさん「なっちゃん、よく寝てね!」
「以上わたしたち…」以下の挨拶、「せーの!」とタイミングを計って客席から「やっぱ、あヴぁんだんど、だなー!」「だなー!」

体調不良を押して舞台を踏んでくれた夏季さんでしたが、唯一、先に触れた「Feedback Friday」でピルエットを控えたのがそのせいだったのかなと思ったくらいで、他にはパフォーマンスにとくに影響を感じませんでした。

あヴぁんだんどとつるうちさんの真のコラボと思われた新曲が今後どのように変貌していくのか、明日以降のライブが楽しみになって来ました。
なお、特に記しませんでしたけれど、新メンバー小鳥こたお嬢は、ただしく自らのあヴぁんだんど性を認め、表に出すことを厭わなくなってきたように思われます、こちらも今後に期待。