宇佐蔵べにソロ2017.02.12 @ 新宿club science


セットリスト:
1. サイダー'73(大滝詠一)
2. 木綿のハンカチーフ(太田裕美)
3. パープルサンデー(つるうちはな)
4. あいゆうえにい(つるうちはな)
5. PARTY(つるうちはな)
6. オーシャンゼリゼ(えんがわ)


ペットボトルと野田くん(IKEAで売っている犬のぬいぐるみ)が上手から投げ込まれたかと思うとべにさん登場、いったん引っ込んでから再登場して「こんにちは、宇佐蔵べにです!こんにちは!」、お下げツインテール、黒のパッチン留めシューズ、ピンクハウスの赤のワンピースに瀬戸内のアートフェスティバルのときの粗いジョーゼットの、やはり赤の衣装を重ねています。要するに、アートフェスティバルのときのインナーをワンピースに変えたわけですね。左腕にジョーゼットの飾りを巻いています。ランドセル。
下手に置いた丸いすに野田くんを乗せ、歌い踊るべにさん。曲は大滝詠一のカバーで「サイダー'73」。舞台は間口が三間、奥行きが二間半ほどですが、楽器などがセッティングされていないその舞台をフルに使い、くるくると大きくターンして踊るべにさん。

MC、「こんにちは!」、今日ははじめてのお客さんもいるかな、びっくりしちゃった、と野田くんをいじりながらのべにさん、二人組みのアイドルあヴぁんだんどのメンバーと自己紹介、ソロは4-5回目、今回の出演は火曜日に決まった、最初は15分ステージといわれていたのが25分になった、ということで歌詞が入っていないかもしれないことをあらかじめ言い訳します。

昭和のカッコ、「昭和の曲で大好きな曲、聞いてください」、二曲目は太田裕美さんのカバーで「木綿のハンカチーフ」、あとで語られますが最初の二曲とも作詞は松本隆さんですね。

MC、「私は昭和の顔だし、昭和の女なのです」といいつつ先ほどステージに投げ入れたペットボトルを探すべにさん、見つかったところで飲んでみせて「ナイスドリンキング!」と自分でウケます。一曲目は大滝詠一さんのCM曲であることと曲名を紹介。いま書いていて気づいたのですが「飲んだ」ことにひっかけてのMCだったのかな。二曲の歌詞を書いたのが松本隆さんであることを紹介します。
インフルエンザで当日休演になったアイドルさんを挙げ、「ソロアイドルすごい」、自分のグループは6人だったのが2人になった、こたおさんは17歳で一つ下、ということで自分が18歳であることを明かします。当日の共演者に9歳の女の子がいて、並ぶと「お母さんといっしょ」のお母さんみたいだったと話します。

あヴぁんだんどのステージは楽しい、「あヴぁんだんどの曲、書いてる、つるうちはなさんの曲」、野田くんと絡んで「野田くん、邪魔すんな…茶番はおいといて」
三曲目「パープルサンデー」はスモークとレーザーという80年代風の効果をバックにうたわれます。強いビート。あやつり人形を思わせる動き。

後ろ向きのエンディングから四曲目は「あいゆうえにい」、べにさん17歳の生誕祭でも歌われた曲です、「普段ではあヴぁんだんどで歌ってる曲です、聞いてください、あいゆうえにい!」
大人だからってものごとがわかっているわけではないという歌詞に共感したのかなと思わせる歌い振り、したがって、誰も教えてはくれないのだという歌詞がいっそう切実に感じられることになるのだろうな、と、これまた歌詞からの連想が誘われます。何回も歌っているこの曲、歌詞の意味をよく捉えて歌っていると感じます。間奏で「せーの!ワイワイワイワイ!」、「あいゆうえにい」では赤いサイリウムが客席からいくつも点され、一昨年暮れの生誕祭を思い起こさせてくれます。三色のライトが点滅するなか、「これでいいのだ!」と歌い上げるべにさん。

「ありがとうございます!…いやいや…」、水を飲むべにさん、「このMCのあいだって、どうすればいいんですかね」、ソロアイドルさんは偉いと語り、「15分のセトリを組んできたのではなしで埋めようと」、野田くんの話、IKEAで大量生産されているためにかえって個体差があって、野田くんはカワイイと語ります。自分で買ったので、盗聴器を忍ばせたりしてあることを疑って水に沈めたりしてない、ということで、アイドルも大変ですね。
レコードプレーヤーを買ったのでレコードください、買ってください、と、「生ハムと焼うどん」がよくやる、お金を示す指のサインをしてみせます。

「次の曲も、つるうちはなさんの曲、いちばんあヴぁんだんどで歌いたいとおもった曲。聞いてください、PARTY」
五曲目「PARTY」、スーパー女になって死にたいほどの辛さでも乗り越えていこうと歌う、聞きようによっては切ない曲です。エアギター。

「さいごの曲、聞いてください!オーシャンゼリゼ!」
六曲目「オーシャンゼリゼ」は、えんがわ、のナンバー。野田くんをバートナーに歌い踊っていたかと思うと投げ捨てられてしまう野田くん、と、野田くんの祟りか、歌詞を間違えてしまうべにさん。

「ありがとうございました!あヴぁんだんどのライブにも、ぜひ来てください!宇佐蔵べにでした!」
野田くんや丸イスを持って上手に引っ込んだべにさんですが、水を忘れていることをフロアから指摘され、取りに戻ってきます。

広い空間を感じさせるあヴぁんだんどらしさ、あヴぁんだんどにしかないよさを満喫できたソロライブでした。あとでうかがうと、こたおさんが居ないぶん大きく踊っていたのだそうで、広い空間を感じさせるよう意識して演じていたわけではなかったそうですが。
好きな服と似合う服が違うことがあるように、舞台人たるもの自分の意図と観客の受け止め方の差あるいは齟齬にいつまでも悩まされるのでしょうけれど、宇佐蔵べにさんも若いとはいえ、もうそういったことを考え始めないといけないのかもしれないな、などと考えさせられたライブでした。




 
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あヴぁんだんど 2017.02.05 @ 新宿レッドノーズ


セットリスト:
1. オンナノコヤマイ
2. あヴぁんだんど
3. Have Some Dreams
4. I AM ア 人間
5. かさぶた
6. SHAMPOO PLANET(LERNERSカバー)
7. ヴぁんでぃっつ!!!
8. 文鳥
9. Magical Symphonic Girl
10. Feedback Friday


暗転、ピチカートのSE、下手より小さめに聞こえる「ヴぁー!」、メンバー登場。こたおさんはポニーテール、べにさんはお下げツインテール。今日は三輪車無し。
こたおさん「こんばんは、あヴぁんだんど、です!」
一曲目「オンナノコヤマイ」、こたおさん「きいてください、オンナノコヤマイ!」、「まるごと受け止めてよ!」と歌うべにさんのマイクの音量が低いのですが、ハウリングを避けるためでしょうか。レッドノーズは壁が硬い素材で広さもあまりないために、マイクの音量を下げなくてはならないのかもしれませんね。
無線マイクで歌い踊る二人。メンバーの数が減ってしまっている今のあヴぁんだんどですが、今日のライブを見る限り、二人でも大丈夫なのかな、十分なのかな、と思えます、そのくらい今日のライブにおける二人の勢いはすごいものがります。その勢いそのままに「乙女の覚悟」で高いケリをきめるべにさん。エンディングでべにさんのツインテールをハンドルのように持つこたおさん。

二曲目「あヴぁんだんど」、イントロでべにさんが挨拶。今日は最近では稀なほどたくさんのヴぁヲタさんが集まりました、したがってコールも盛ん。
振り返る振りで片目を指で開ける振りのべにさん。先に記したようにレッドノーズは決して広い会場ではありませんが広い会場並みにピルエットをキメてから「ここにいると」と歌うべにさん。
ヴぁヲタの減少から最近では起きないことも少なくなかったサークルモッシュがフロアで発生、べにさん「みんなも一緒に!」、ふたりで「センキュー!」

MC、「うさべに、です!」「こたお、です!」「わたしたち、見捨てられたアイドル、あヴぁんだんど、です!」
こたおさん「アッチィね、まったく!」、雨が降ったか尋ね、40分間のステージ、当日のトリと語ります。まだ二曲だけだった、「あと30分」とべにさん。

べにさん「次の曲、聞いてください、Have Some Dreams」
三曲目「Have Some Dreams」、先にも記しましたが、今日のステージを見るところでは、二人のあヴぁんだんどもよいものだなあと感じましたが、狭いうえに照明のバリエーションも限られるレッドノーズのステージに合わせたステージングのようにも思え、広い会場を前提とするあるいは広さを予感させるほんらいのあヴぁんだんどの良さとは少し趣が異なるのじゃないかな、と感じます。
「扇風機の」では帽子でメンバーをあおぐヲタさんが。
「殺しあって」、以前は「こ」でお互いの首に手をやっていたと思うのですが今日は「し」で手を持っていっていたようです。
ラストのこたおさんソロの歌詞「風に…飛んでゆく」が今のグループの状況にシンクロして感じられました。

四曲目「I AM ア 人間」、名古屋能楽堂で初演されたこのナンバー、広々とした能楽堂の空間をライブハウスに集まった観客に垣間見せたかつてのパフォーマンスとはことなり、今日のパフォーマンスは狭い場所を狭いままに観客に示すものとなっていたように思います。が、これはこれで、むしろライブアイドルならではのパフォーマンスであったかもしれません。
間奏で、べにさんが鬼になり、こたおさんが豆を投げる振り。

五曲目「かさぶた」、現時点での最新オリジナルです。この二人でなくては、という曲。べにさんがなにか挨拶されますが聞き取れません。「おなか空いても」のあとのべにさんのソロ、ゆれる音程がかえってリアルに感じられます。この「おなか空いても」は二回繰り返されますが、最初は上手がべにさん下手がこたおさん、なのですが、二回目は上手下手が入れ替わるのですね。

べにさん「ありがとうございます!」
こたおさん「アッツィ!」、告知、翌日のライブは畳でライブと。べにさん「お仕事の疲れを癒してください」
さらにその翌日は月をテーマにしたライブハウスでのライブ、こたおさん「畳のあと月なんて、ロマンチック」、べにさん「ロマンチックアイドル、あヴぁんだんど!」

べにさんのMC、カバー曲を今日発表、ラーナーズのボーカルさんから「あヴぁんだんどなら、カバーしても良いよ!」とお墨付きを頂戴した、「すごくないですか!?聞いてください、シャンプープラネット!」
六曲目「SHAMPOO PLANET」は50sを愛するバンドLERNERSのカバー。
オープニングはこたおさんの髪をシャンプーするべにさん。そのべにさん、歌うことだけが未来であるというキメの歌詞に、いまの自分たちを重ね合わせたのかな。この歌詞は最後にも繰り返されます。

べにさん「ありがとうがございます!このあとも聞いてください!ヴぁんでぃっつ!!!」
七曲目「ヴぁんでぃっつ!!!」、ボウタイをほどくべにさん、そのべにさんの歌う「最後には笑うんだ!」の歌詞は、はたして誰に向けて歌われたのか。
他人の受け止められるようなかたちで、みずからの思いを発することが出来るのは、やはり、ひとの思いを受け止めたことのあるひとなのでしょうか、ならば、ひとの思いを受け止めることのなかったひとにとって、他人に受け入れられる形で思いを発することは大変困難であるのかもしれません。べにさんの思いが多くのかたたちに受け入れられますよう。

イントロ、べにさん「まだまだ楽しんで行きましょう!」、八曲目「文鳥」、べにさんのエアギター、つづいてこたおさんも。「きみのかたち」で白目をするべにさん。

九曲眼「Magical Symphonic Girl」、「まだまだ!」とべにさん。
こたおさんのスカートをめくるべにさん、二回も。スケべに。
セリフのシーン、今日出演できたことに感謝するこたおさん、「足元に気をつけてお帰りください」とべにさん、「雨雨降れ降れかあさんが」とこたおさん、「幸せもの、って…」といつものようにべにさん。
ラスト「生きてる!」で、挙げた手のわきの下を押さえてみせるべにさん、長袖シャツだから見えるわけはないのにファンサービス。

イントロ、ラスト十曲目「Feedback Friday」、べにさん「最後の曲です!気をつけて帰って!」、当日は前物販だったからですね。こたおさん「愛してまーす!」、ランドセルを外すべにさん。
ホリゾントをめくるべにさん、その後ろは鏡です、これもスケべにならでは?
この曲も、ライブアイドルならではというか、広さを感じさせるのではなく、会場の狭さを狭さのままに演じていたように思われます。
メリーゴーラウンド、で二人がピルエット。ラストコーラスでふたたびランドセルを背負うべにさん。
「トゥルッツトゥルッツ」で、脱いだ右の上履きのにおいをかいで顔をしかめて見せるべにさん、「まだまだ一緒に!」
客席に背中を向けてエンディング。

べにさん「以上わたしたち、あヴぁんだんど、でした!ありがとうございました!」、ヲタク諸氏「やっぱ、あヴぁんだんど、だなー!」
べにさん「お気をつけて!」、こたおさん「愛してまーす!」、べにさん「痩せたい」

現メンバーになって以来最長のステージだったかと思われるあヴぁんだんど、ステージの感触がこれまでと異なった瞬間があり、今後の展開に期待させてくれました。

やっぱ、あヴぁんだんど、だなー!

 
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「堕ちる」

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「堕ちる」

「ベテランの織物職人が地下アイドルにハマった!」で話題の短編映画「堕ちる」を見てまいりました。
まず上映時間を確認したところ、9:30分開始、10:00終演予定、とのこと。映画がたったの30分?アリか?とあたまを「?」でいっぱいにしつつ会場の渋谷ロフト9に向かいます。
当日券で入ったのですが、日曜の朝というのに予約が50人弱入っていたもよう。すごい。
会場に入ると、「ヲタク」を絵に描いたような風体のみなさんがずらずらと。映画の内容はみんな聞き知っているであろうところ、自分を見にいらっしゃったのかな、自分の姿をスクリーンの上に確認しにいらしたのかな、と思いつつ上映を待ちますが、雰囲気というか空気というかなんというか、「えれートコ、来ちまった」感がいっぱい。なお、とうぜんながら、筆者自身もはたから見たら「そんなようなヒト、ヲタク、その一」でしかなかったでありましょう。

さて、映画はライブと違って押すことも巻くこともなく、定時に始まります。

主人公の織物職人は、ほとんど口をききません。30分という尺は、主人公がしゃべらないことによってセリフの分の時間が節約できたことも理由の一つであるのは間違いないのですけれど、しかしながら、この尺で映画が実現できたのは、監督さんの技術ゆえ、すなわち、筋運びの省略の仕方がものすごく上手いがゆえなんですね。そう考えるなら、主人公に余計なことをしゃべらせないことが即、省略であるとも言えるわけですね。

監督そしてスタッフが映画つくりの技術として大変に高いものを持った方たちであるのは、織物職人が自殺を図るシーンのカット割りの凄さに伺われます。くどいほどに描こうと思えばそれが出来るのは、このシーンで明らかです。このシーンでは、撮影担当者の技術の高さ、そして主人公を演じた役者さんの演技、すべてがすばらしい。

また、織物職人に対するアイドルの心情をほぼまったく描かないところは、省略という以上に、表現のために、言うべきことを言うために、あえて描かない技術をお持ちなのである、と評価するべきでしょう。

省略ゆえにわかりづらくなっているところはあるにはあります。たとえば、ライブ会場で手を怪我した織物職人は、工場を解雇されたのだと思いますが、アイドル「めめたん」のために作った衣装を気に入った工場主と並んで、新しい地下アイドルのステージを織物職人が見るシーンでの織物職人の衣装がそれまでと違って芸能関係者のごとくラフであるのは、そして、工場主がスーツであるのは、かれらが運営に回ったということなのだろうか、と、あとになって考えたのですけれど、映画をみているときにはわからず後になってから一応の理解が出来ること、それもまた省略の効果であるのかもしれません。

アイドルが地下を卒業するという発表をみたあとの職人の顔のアップに続く機織機械のカット、さらに職人の姿のカットは、それまでより画面の彩度を落としていたように感じたのですが、こちらの思い違いか、主人公の心理を画面の色彩で表現しようとなさったのか。
主人公はあくまで機織機械のエキスパートであって、織物を使った服作り、衣装作りのエキスパートであるという描写あるいは説明はないのに劇中「めめたん」の衣装を独力で作り上げることが出来ているというのは、表現の嘘として納得するべきところでしょう。

そして、ラストのカットにこそ、監督の力量にうなることになります。
スクリーンの向こう、真正面からこちらを見る「めめたん」が、みずからのオリジナル曲と設定された曲の一節を引用するかたちで「秘密だよ」とつぶやくとき、どこか後ろめたい思いをひきずりながら上映会場に赴いた、ヲタクを自覚する諸氏には、「この映画を見にきたことは、めめたんとアナタとの秘密だよ」と呼びかけられたごとくに思われたでしょう、わざわざ会場まで出向いたみずからの行いが救われたと感じたことでしょう。
すなわち、スクリーンの上のフィクショナルなアイドルである「めめたん」が、スクリーンを越えてリアルなアイドルとして現場=上映会場に現れた瞬間が、ここにあるのです。ある会場では「めめたん」のチェキ列が切れることがなかったというのがうなずけます。「めめたん」は、スクリーンの上だけの存在ではなく、映画を見に来たひとを救う、現実のアイドルになったのです。

さて。不幸にしてこのレビューを先に読んでしまったあなた、いまからでも遅くはない、上映会場に走り、「めめたん」のトリコになってください。どうぞ、めめたんとの秘密をつくってくださいませ。
 
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