PCデポが未成年者と契約し締結してないPS契約の料金をクレカで勝手に引き落としている件 | なか2656のブログ

なか2656のブログ

ある会社の社員が、法律などをできるだけわかりやすく書いたブログです

1.事案
ここ数日、ネット上で再びPCデポの話題が盛り上がりをみせています。


被害者の方によると、つぎのような状況(①~④)のようです。

①未成年との契約締結(しかし契約書がない)
②本件契約のクレジットカードの名義人は未成年者本人の母のものであった。
③サポートは一切いらないといったはずなのにプレミアムサービス加入
④月額サポート代金のクレジットカードによる無断引き落とし
 


2.①について
顧客が未成年ということは民法上契約を取り消されるリスクがあり(民法5条2項)、またデポの会社所定の規約違反であることは、PCデポの会社の業務のあり方として、コンプライアンス・ガバナンスの点から問題です。

また、割賦販売法や改正電気通信事業法によりIT機器を割賦で販売する際には契約書面の交付が義務付けられていますが、それを怠るとは、行政的なリスクが発生します。(また被害者の方は、契約書類を受け取っていないのですから、クーリングオフが可能です。)

2.②について
この点、そもそもPCデポのプレミアムサービス会員規約10条2項5号は、PSサービスの申込人とクレジットカードの名義人が異なることを禁止しており、PCデポは自社の基準に違反しています。

・プレミアムメンバー会員規約|PCデポ

3.③~④について
・PCデポが顧客本人に無断でクレジットカードから金銭を引き去っているのなら、「名義冒用」となり本人は代金を支払う義務を負いません。(石原豊昭『クレジット・サラ金トラブル解決マニュアル』48頁)

この点刑法的には、PCデポが勝手に顧客のカードでカネを取ってると考えるとクレカ会社に対する窃盗罪(刑法235条)、あるいは、支払う意図もなく顧客のカードを使ったら詐欺罪(246条)にあたる可能性があるようです。(石原・前掲62頁)

なお、民法的には、この被害者の方は、PCデポに対して民事訴訟を提起して、クレジットカードで引き去られた金銭相当額の返還を求めることができます(民法709条、715条)。

さらに、これはどの程度効果があるか不明ですが、監督官庁に被害の申出を行うことが考えられます。クレジットカードについては、経済産業省商務情報政策局商取引監督課が担当課であり、また、IT機器の販売などに関するトラブルに関しては、総務省電気通信消費者相談センターが所管であるようです。

■関連するブログ記事
・PCデポの法的問題の整理-消費者契約法等

■参考文献
・山岸憲司『リース・クレジットの法律相談 第3版』356頁、442頁
・石原豊昭『クレジット・サラ金トラブル解決マニュアル』48頁、62頁
・電気通信サービスの消費者保護ルールの見直し|総務省

・PCデポ 今更ながら会員規約抜粋|しろうとさんのブログ

リース・クレジットの法律相談 (青林法律相談)



クレジット・サラ金 トラブル解決マニュアル―紛争実例&解決法・相談先





法律・法学ランキング
にほんブログ村 政治ブログ 法律・法学・司法へ
にほんブログ村