なごやんのBCL史(19)暗黒からの脱出 | なごやん

なごやんのBCL史(19)暗黒からの脱出

 今回のBCL史は昨年11月以来のアフリカです。

 ベリカードを期待されていた方、申し訳ありません。今回はベリカードはありません。


【背景】

 アフリカは「暗黒大陸」などと呼ばれ、ヨーロッパ列強の植民地になっていて、20世紀半ばまでに独立しているのは10か国程度しかありませんでした。赤道直下の国々もまだ植民地でした。

後にコンゴとなる仏領赤道アフリカ(左)とベルギー領コンゴ(右)の切手


 しかし、1960年になると一挙に13か国が独立し、後にこの年は「アフリカの年」と呼ばれるようになりました。とりわけフランスから独立した国が多く、それまでの「フランス領赤道アフリカ」からはコンゴ共和国(首都ブラザヴィル)が誕生しました。また隣の「ベルギー領コンゴ」もコンゴ共和国(首都レオポルドヴィル)として独立しました。

植民地時代のコンゴ


 このうち旧ベルギー領コンゴでは、独立直後から経済的に豊かな南部のカタンガ州がコンゴ共和国からの独立を宣言し、争いに発展しました。この影にはコンゴ共和国(レオポルドヴィル)を親ソ連邦政権とみなす米国の介入がありました。


 米国の大統領がJ.F.ケネディになると、米国はコンゴ共和国政府に理解を示し、カタンガを分離独立させることなく、コンゴ共和国の統一を達成しました。


 1965年、モブツ大統領が誕生し、独裁政権を敷くと、1966年、首都名をレオポルドヴィルからキンシャサに替えました。そして1967年には国名を現在の「コンゴ民主共和国」にしました。(実際には1971年に国名をザイール共和国にしますが、1997年、モブツが国外へ逃げると、再びコンゴ民主共和国へ復帰しました。)


【コンゴ国立放送】

 私がコンゴ民主共和国の放送を聴いていたのは、1960年代後半、ちょうどその移り変わりの頃でした。


 特に首都キンシャサからの「Radiodiffusion Télévision Nationale Congolaise(RDTC~コンゴ国立放送) 」は日によっては良好な状態で聴くことができました。

Radiodiffusion Télévision Nationale Congolaiseのログ

(その時々により、アナウンスされる局名が微妙に異なっています。)


 私は何回か受信レポートを出しましたが、国際返信切手券(IRC)*を同封したにもかかわらず梨の礫でした。

国際返信切手券

*国際返信切手券:郵便による国際通信に使われる、返信用切手引換券で、外国のこの券で1通分の書簡を送ることができます。私は南米、アフリカなどの一部の発展途上国から是非とも返事がほしい時、受信報告書に同封しました。


 アフリカの国々の放送局からの返事はなかなかもらえないと言われていた時代です。


【カタンガ州ルブンバシ】

 そうこうするうち、私はカタンガ州のルブンバシ(旧エリザベートヴィル)にあるRDTCを聴きました。

 内容はニュースや解説、アフリカの音楽などで、他局と大きく違うものではありませんでしたが、出力わずか10KWのこの局をなんとか聴きとり、受信報告を送りました。(with IRC=国際返信切手券とともに)

ラジオ・ルブンバシの受信ログ


 しばらくして返事がきました。受信証(カード)は入っていませんでしたが、手紙で受信が確認されていました(アンダーライン部分)。

ルブンバシからの受信確認レター


 放送(英語)では局名をRadio Lubumbashi(ラジオ・ルブンバシ)と言っていましたが、手紙にはRadio Katanga(ラジオ・カタンガ)と書いてありました。


 発送元の地名が「エリザベートヴィル」ではなく、「ルブンバシ」になっています。また、国名は「コンゴ民主共和国」です。


 さらに、追伸(P.S.)にあるように、コンゴ民主共和国は「万国郵便連合(UPU)」から離脱していたため、IRCは使えないとして送り返されてきました。(笑)


 国名が変更されて日が浅いためか、封筒に張られた切手の国名には「コンゴ民主共和国」と「コンゴ共和国」の2種類がありました。また、上の手紙を送ってくれるだけなのに、「書留」になっていました。

新旧両国名の切手が張られた書留便


 これが、私の手許にあるコンゴ民主共和国からのただ一通の手紙です。


【そして今】

 独立して間もない、いわば黎明期を脱して民主化の道を歩もうとしたコンゴ民主共和国ですが、隣国との争いも絶えず、まだ道半ばといったところです。


 現在の放送局名は「Radio-Télévision Nationale Congolaise(RTNC)」となっていて、インターネットで部分的にアクセス可能ですが、独自のホームページを持っているかどうかは確認していません。

コンゴ民主共和国と周辺の国々


 混乱から新しい道を歩み始めた時代の話でした。


 次回はまたヨーロッパの予定です。

BCL、DXing、SWLカテゴリーのアーカイブはこちら


相互リンク⇒アクティブなごやん(ゴートク、ブンデス、HSV)

コンゴは暑いよ、タブン⇒