ちらし寿司 | naggy(なぎぃ)の木

ちらし寿司


なぎぃの木 naggy イラストレーター 鮨 ちらし寿司 お多福

春は別れの季節とも言いますが…
先日用事で実家に帰った際、寂しいニュースを聞きました。
子供の頃から慣れ親しんだ近所のお寿司屋さんが、この春でお店を畳まれるとのこと。

わたしが小さい頃は、寄り合いや法事などで大人用にお料理を注文する時に、
子供用として巻き寿司やお稲荷さん、伊達巻きのお寿司などを桶に入れてもらい、
小さい子たちで分けていました。
中学生ぐらいになった頃、「コレは、あんたの分やで」と母に言われて、蓋付の四角い桶を
一つ渡されました。それは大人用に注文した、ちらし寿司でした。
一人前を残さず食べられるようになったからなのですが、大人の仲間入りができたようで、
嬉しかったのを覚えています。
マグロやエビやイカなど、きれいなお刺身が沢山載っていて、ごはんの上には桜デンブと
刻み海苔と錦糸卵、彩りにパセリと缶詰のサクランボが添えられていて。
カラフルなお寿司を眺めながら、どこから食べ始めようかと迷いました。

これからは、もうあのちらし寿司食べられへんねんなぁ…
そう思うととても寂しくて、記憶を頼りに描いてみました。
そして、「今までありがとうございました」と、お手紙を書きました。

4月間近になってもなかなか温かくならず、わたしの住む町では桜はまだつぼみのままです。
今年の春は、ゆっくりスタートしそうです。

illustration  by naggy