本日のワイドスクランブルに日本創新党党首山田宏さんが出ていた。
 ゲストはなかにし礼さん、コメンテイターは川村晃司さん
 党ができたばかりなので、あまりつっこんだりせず、山田氏の話を聞くことが中心だった。
 山田氏の話の内容はだいたい次のようなものだった。

「国家公務員、地方公務員の数を減らしていく必要がある。杉並区でも4800人の職員を十年間で3800人にした。なので、2割くらいはカットする必要がある。やめる人がいる分を雇わなければ、どんどん減っていく。やはり、その前提として、国会議員および地方議員を十年後には半分にする。もう、それぐらいの覚悟で臨む。仕事の民間委託、民間化をすすめる、ということが必要」

「日本の競争力の足を引っ張っているのは高い行政コスト。高コストの行政をやめれば、日本の経済はよくなっていきます」

「法人税・所得税などを国際水準まで下げるべきです。消費税は、今の日本の福祉水準からみれば5%から10%程度にはまずあげなければいけない。それは福祉目的税化するべきですそれは地方にも配分するべきです」

「日本のGDPは500兆だが、それを600兆にするような新しい産業を生み出していかないといけない。例えば人間ロボット、電気自動車、といったものを一気に普及させて日本標準が世界の標準になるようにしていけば、日本のマーケットはひろがっていきます。国家戦略をもって、国もそれをバックアップして伸ばしていくことが必要です」

「農業に力を入れていくことが大事」

「成熟社会の鍵はお年寄り。楽しい長寿社会を作ることが成熟社会をつくっていくための鍵です」

「国家の建て直しは、理念的には依存心を高める政策、例えば補助金とか無料化だとか手当てだとか、こういったものはなるべく削っていく、ト。そして、自立心をはぐくむ政策に変えていく、ト。ということが基本的モチーフ。その結果、道州制とか、小さな政府とか、こういったものが起爆剤となる」

「参議院議員に市長や知事でも立候補できるようにする。もちろん、給与はどちらか一つ。そうすると、参議院の議論は(今より)はるかにリアリティーのあるものになる」

 主な主張はこんなところだった。
 公務員数の削減は、山田氏が実績を持っている部分なので、一番主張しやすいことなのだろう。
 国会議員の数の削減は、昨年の民主党のマニュフェストに出ていたが、民主党が政権をとってから全然法案が国会に出てこない。選挙前に言うことはできても、政権を取ってから実行するのは難しいことなのだろう。選挙のときに、これを掲げて、キャスティング・ボートを握ったら、すぐに他党に実行を迫る政党があったら面白いと思う。
 「日本の競争力の足を引っ張っているのは高い行政コスト」というのは、具体例が出てこないとなかなかわかりにくいという人が多いのではないか。行政コストの削減は、もちろん財政改革にはなるが、企業の競争力の増強にはどうしてつながるのだろうか。
 法人税の引き下げは竹中平蔵さんなども言っていることで比較的賛成する人が多いことかもしれない。
 所得税の引き下げは、現在、高額所得者については引き上げることを主張する人もいるので、どうして引き下げたほうがいいのか、詳しい理由を聞いてみたい気がする。
 「新しい産業を生み出していかなければいけない」というのは、これ自体はそのとおりである。ただし、「国がそれにどのように関与できるのか」というところを山田氏は言っていなかった。「そのへんは、まだまだこれから」という部分なのかもしれない。
 農業についても、ただ「大事」と言っているだけだし、高齢化のことについても「楽しい長寿社会」と言っただけだった。
 「道州制」「小さな政府」というのは、立場を明らかにしていて好感がもてると思った。
 「市長・知事の参議院議員兼任(選挙で通った場合)」は、目新しい提案だと思う。フランスでは実施されているらしい。「議論がリアリティーのあるものになる」では抽象的でわかりにくいので、フランスではどういう利点があったのか、具体的なことを知りたいと思った。
 今回の山田宏さんのテレビ出演は、短時間で総花的にいろんな政策を並べている感じで、「なんとなく雰囲気はわかる」という程度の印象しかない。一番大切な理念+政策に話をしぼり、それについてもう少し時間をかけてやって欲しいと思った。


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