「セックス・チェック」は、よく聞く言葉である。
 女性の身体に男性的な力が宿る。
 もしかしたら、男性ではないかと思うから調べる。

 「ニューハーフやオネエ」などの、芸能人も多い。
 男性の身体に小生の精神が宿る。
 女より女らしいと、女性も認める女性らしさだ。

 「同一性障害」などは、性の選択も認められた。
 手術によって、女性から男性にもなれる。
 手術によって、男性から女性への性の転換も可能になった。

 「両性具有」は一つの身体に二つの性が同居する。
 何故一つの体に両性共存かの神の真意は分からないが、
 人間の本来の姿はそうであったという声も聞く。 
 

 ベルリンの世界陸上女子800メートルで優勝した、
 南アフリカのキャスター・セメンヤ選手が、
 実は男性かもしれないと、国際陸連が性別を調査していた。

 
 婦人科の検査の結果セメンヤ選手には卵巣がなく、
 男性ホルモンを分泌する精巣が体内にあることが分かったという。
 女性の身体に男性が宿っていた。 

 
 男女両方の生殖器を持つ「両性具有」と判明したのだ。
 精神的な情感が影響する「性同一性障害」などとは違う、
 生殖器も両方持つ「両性具有」の人だ。

 
 そんな事は彼女の責任ではない。
 彼女は女性として国家が認め女性選手として出場したのだから、
 優勝は特に問題などないと思う。


 
 インターセックス・イニシアティヴ






 両性具有の美しいヘルマフロディトスはギリシャ神話に登場する。

 ヘルマフロディトスはヘルメスとアフロディテとの間に生まれた。美しく成長したヘルマフロディトスは15歳になると旅に出た。旅の途中で、リキュアを訪れたヘルマフトディトスは、泉の妖精サルマキスに出会った。ヘルマフロディトスの美しさに見とれ、自分のものにしたいと考えたサルマキスはへルマフロディトスに惚れてた。何度言い寄っても相手にされなかった。あきらめないサルマキスはストーカーになった。付きまとうサルマキスはある日、ヘルマフロディトスが泉で泳いでいると、泉に飛び込み彼に抱きついた。サルマキスは彼と永遠にひとつになれるよう神に願った。呆れたであろう神は、哀れなサルマキスの一途な思いを聞き入れた。二人の体はひとつとなった。ヘルマフロディスの身体にサルマキスがすむ、両性具有となった。「乳房を有する美青年」や、「男性性器を持った美女」として描かれるヘルマフロディアは、両性兼ね備えた人間本来の最も美しい姿だと、ギリシャの詩人の声が聞こえそうだ。


 もう一度、少し角度を変えて、説明を試みる。ヘルメスはギリシャ神話で、富と幸運の保護者で、竪琴、アルファベット、数、天文、音楽、商売、賭博、競技を司る万能に近い神で、その妻アフロディテは愛と美と豊穣の女神だ。愛と美と豊穣女神アプロディテと万能に近い能力の神ヘルメスの間に生まれたのがヘルマフロディトスだ。妖精に育てられた美しい少年ヘルマフロディトスは15歳になると旅に出た。泉の妖精サルマキスは、彼に夢中になるが、ヘルマフロディトスは相手にしない。サルマキスはストーカーになり強硬手段に出た。泉で泳ぐヘルマフロディトスにストーカー・サルマキスが抱きついた。そして、必死のサルマキスは、ヘルマフロディトスと離れたくないと神に願った。サルマキスの願いは聞き入れられ、一つの体に二つの性が宿ることになった。


 ギリシャ神話の次はギリシャ哲学だ。

 プラトンは、両性具有を人間の原型と考え、もっとも美しい姿だと考えた。両性を兼ね備えた調和の美が両性具有であり、人間の原点であり、人間の理想であると考えた。その両性具有への憧れは、キリスト教でも拒否されることはなかった。聖書の創世記においては、人間は神によって地上のゴミから造られるアダムが始まりである。一人では寂しいアダムのために、アダムを寝かせた神はその肋骨の一つからイヴを作った。アダムの身体には女性であるイブも内在していたというわけである。説明に無理がありそうだが、アダムは両性具有であったのである。つまり、人間を神が造った当初は、両性具有だった。そして、話は更にややこしくなるが、処女マリアから生まれたイエス・キリストの説明となるが、それはキリスト教徒にとっては認められない説明である。私はキリスト教徒である。


 ギリシャ神話からギリシャ哲学キリスト教のアダムとイブのエデンの物語から、処女マリアからのキリスト誕生や、魔女探しまで、両性具有は、人間の歴史であり人間の精神深層に宿る本能的な願望まで絡む問題のようだ。