かなをやるなら古筆をとすすめられていたのですが、考えた結果、漢字もかなもできて内容も興味深い「和漢朗詠集」がよいかと思いました。


「和漢朗詠集」というのは、藤原公任撰の詞華選(アンソロジー)です。


二巻構成で、上巻は春夏秋冬の各部、下巻は雑部。各部には朗詠題をたて、漢家詩文・本朝詩文・和歌の順に作品を配列。この三種がかならずしもそろっているわけではなく、御物粘葉本によれば、漢家詩文234・本朝詩文354(漢詩文合計588)・和歌216。


詩全体をとるのではなく一部抜粋も多く、詞書なども一切省略。まさに詩歌のエッセンスをまとめたものといえます。


完本・零本(一部分しか残っていないもの)・古筆切など合わせさまざま残っています。書道の手本としては、伝藤原行成筆御物「粘葉本」(完本・二冊)などがスタンダードなようでしたが、私は同じく伝行成筆「大字朗詠集切」(古筆切)が気に入りました(粘葉本も好きですが)。私には難しいのですが、前者の書風が高野切本古今集第三種、後者は第一種と同類なのだそうです。



公任サマの選んだ詩歌を、行成さんの筆で……素敵じゃないですかっ。

でも、この場合の「伝」というのは、まあまず行成の自筆ではありませんよ、という意味なのですがね(^^)

しかし、「和漢朗詠集」の成立伝承として、公任がみずからの選集を行に清書させ、藤原教通を娘婿とした際に手箱に入れて贈った、という話があります。現存していなくても、実際そういうことがあったのでしょう。


以上、『日本古典文学大辞典 簡約版』岩波書店、1986

    川口久雄『和漢朗詠集 全訳注』講談社、1995(第21刷)



さてさて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。

貴重な「大字朗詠集切」の影印本を発見!


くじょう みやび日録-大字朗詠集表紙
▲『伝藤原行成筆 大字朗詠集』<平安朝かな名蹟選集・第29巻>書藝文化新社


とりあえず、まだかなは「百人一首」(これは現代かな作家数人による手本)をやっているので、手元に持っておくだけでいいかな……と考えていたのですが、先日、つい、墨が余ったので「なんちゃって」で挑戦……




くじょう みやび日録-なんちゃって

みよしのゝ


やまのしらゆき


つもるらし


ふるさとさむく


なりまさるなり








かなは現在練習中ですし、古文書の心得も少々あるため、先生からも臨書してみたら、とすすめられました。


今度、本の先頭からやってみたいと思います(ただし、現段階ではかな部分<=和歌>のみ!)。できるでしょうか? 無謀な挑戦は、つづく……