基本動作Ⅰ~Ⅳを続けて行ない、受け・突き・運足を磨く | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 先日の稽古の話ですが、出席者の状況から2組に分けました。


 その基準は到達度でしたが、入門後、まだ日が浅い、あるいはしばらく稽古をお休みしていた方たちと、長く在籍し、それなりの意識で稽古している人たちです。


 今日のお話は前者の人たちのグループのことですが、そこではタイトルにありますように「基本動作(きほんどうさ)」を中心に行ないました。


 少し前に、「基本動作」のⅠからⅣまでを一つずつ、お話ししましたが、今回は異なった意識での稽古であり、内容もそのつもりで綴っていきます。出席者が前回の場合と異なりますので、アドバイスしたことも、稽古目的自身も違いますので、今回もブログネタとして取り上げたわけです。同じ内容であればスルーするところですが、そういうつもりでご覧いただければ幸いです。


 ちなみに、上級者グループについては研究稽古とし、二十四歩(にーせーし)」の分解・解説の稽古にしました。その話は後日にさせていただきます。


 ここから稽古の話になりますが、まずは「基本動作Ⅰ(きほんどうさいち)」と「基本動作Ⅱ(きほんどうさに)」についてです。


追い付き・運足  いずれの場合にも、左のイラストに示した「追い突き(おいづき)」が入っていますが、上段・中段のいずれも行ないます


 運足の様子は「突き」の下に示してありますが、「正整立ち(せいさんだち)」をベースに行なわれます。移動の際、後の足を一旦前足のほうに引き寄せるようにし、半円を描くような感じで足を運びます


 それに連動させて突くことになりますが、タイミング的にはほんのわずか、足のほうが先になります。


 時々、「突き」のほうが先になるケースもありますが、武術の理としてはまず土台をしっかりすることが大切であり、そのための身体操作です。


 最近の試合の中では、ルールも関係し、競技の中でということだからでしょうが、奥足が浮いたままの状態で「突き」を出し、何となくタイミング的にコントロールされているからということでポイントになり、だからこういう技も有りだと思われている節がありますが、それはあくまでも競技用と心得るべきです。


 実際に戦うための武技としては、パワーの伝え方にも気を配ることが大切であり、その源は下半身からというが原則です。だからこそ「立ち方3年、歩き方3年」という言葉もあるくらいで、こういう意識は武術として必須のことなのです。


 こういうことは基本で行なう「移動突き(いどうづき)」の稽古の中でも意識しなければならないことですが、数をこなす中では集中力が欠けてしまう時もあるでしょう。


 しかし、「基本動作」のように、一つのパッケージとして稽古する時には回数が限定されていますので、その範囲ではしっかり最後まで集中力を持続させることができるでしょうし、実際にそうしてもらうことが大切です。今回も、その意識で稽古してもらいました。


 また、立ち方を変え、四股立ち(しこだち)」による「突き」の場合もありますが、基本的には同様の意識で稽古してもらいました。


 土台が異なる分、技全体としては身体操作の点などで異なる要素もありますが、意識の点などは重なります。初学者の場合などは、立ち方を辛く感じるケースもありますが、この日の出席者は日が浅いと言っても出席者の中での比較の上での話であり、立ち方に関して問題が出るようなことはありませんでした。


下段払い 四股立ち  今、「四股立ち」の話が出ましたので左のイラストを挙げましたが、「突き」だけでなく「受け」の際の土台になっています。


 「下段払い(げだんばらい)」の様子ですが、「基本動作Ⅱ」に登場します。


 足元を見ると矢印がありますが、ご覧のように後方に下がりつつ受けているのがお分かりになると思います。


 武術として意識するべき戦いの場面にはいろいろなケースがありますので、稽古の設定も様々です。


 でも、物事には段階がありますので、それを正しく登っていくことが必要になります。


 そういう意識で武技を見る時、まず最初の意識として、攻撃では前進して間合いを詰める、防御では相手の攻撃が当たらないように後退して受ける、ということが基本になります。


 だんだん上手くなり、攻防共に質が上がってきた時にはそれが逆になっても成果を得るようになりますが、まず最初に意識すべき戦いの基本はここにあります。


 「基本動作」の構成もそれに則っており、ⅠとⅡではそのようになっていますが、Ⅲでは「受け」の際も間合いを詰めて行なうシーンもあります。ここではそういう比較も意識してもらいつつの稽古になりました。


 ちなみに、「四股立ち」による「下段払い」の際、連続して行なうことになりますが、その最初のところは「正整立ち」から「四股立ち」に変化します。


 その際、丹田の落としが必要になりますが、それが「下段払い」を伴うものであれば、そのことがより意識できることになります。ここではそういうイメージで行なってもらいました。


基本動作Ⅳ  ここから前述の「基本動作Ⅲ(きほんどうささん)」の話になりますが、その一部を左に示しました。


 上段揚げ受け(じょうだんあげうけ)」から「中段逆突き(ちゅうだんぎゃくづき)」に連続しているところです。


 足元の矢印では後退していることになっていますが、前述のようにこの「基本動作Ⅲ」では、同じ「受け」が前進の場合と後退の場合に登場します。


 その意義を理解しなければ、単に運足の違いといったレベルで収まるでしょうが、武術の稽古ですからしっかりした意味があります。


 その点はすでにお話ししているので繰り返しませんが、稽古の際もその意識で行なうことが大切であり、前進・後退のいずれの場合も実際の攻防の意識で行なうことが必要です。それができた場合、「受け」と反撃の具体的な技は同じでも、そこに内在する部分には明確な違いがあり、そこまでも再現できれば実戦でも活用できます。


 ここではそういうところまで習得してもらうことを念頭に、「受け」→「突き」については、限りなく1拍子に近くなるように稽古します。この部分は「基本動作Ⅲ」の特徴でもあり、以前「基本動作Ⅲ」をテーマにした時にも説明してあります。


基本動作Ⅳ  最後に一気に難度が上がりますが、「基本動作Ⅳ(きほんどうさよん)」です。


 その一部を左に示しましたが、ご覧のように転身が入っています。


 ここでは90度ですが、180度のパターンもあり、それを「基本動作Ⅲ」で行なったように限りなく1拍子に近い動きで行なう、という内容になっています。


 これまでの「基本動作」では、立ち方の違いはあっても前進と後退のみでしたので比較的容易でした。


 しかし「基本動作Ⅳ」では拍子の難度に加え、転身という要素が入っている分、2倍というより2乗の位の難度アップになるわけです。


 実際の場面を考えれば、側方、あるいは後方に対して、視覚で確認する時間がほとんどないような中で的確に情報を得、それに応じた対応を迫られる状況の中での動きになります。「基本動作」よりももっと上位に位置する「基本型(きほんかた)」や「(かた)」には当然のように方向転換と共に技を出すシーンがありますが、本当はその前提として相手がどう仕掛けてくるのかという情報収集が必要であり、実際はそれを感性に頼ることになるという現実をこういう稽古からも悟らなければなりません。


 この稽古をしたグループの人たちが、そこまでの認識で行なわれていたかどうかは不明ですが、この時点での段階ではまだ無理だと思われます。


 今後稽古を重ねる中で、少しずつこういうところまで理解し、その上で稽古することができるよう、意識改革をしていければと考えています。







 ▼活殺自在塾公式HP
 (活殺自在塾のHPは上記をクリック)

   ※武術の修行と生活の両立を図るプログラムで塾生募集中


 ※活殺自在DVD第1巻「点の武術」、大好評発売中!

   アマゾンでも販売を開始しました。

   神保町(東京)の「書泉グランデ」でも販売しています。

   ユーチューブにダイジェスト映像 http://youtu.be/e5CUX-zn9Zk


 ※活殺自在DVD第2巻「極意の立ち方」、発売開始!

   アマゾンでも発売開始しました。

   神保町(東京)の「書泉グランデ」でも販売しています。

   ユーチューブにダイジェスト映像 http://youtu.be/FGwnVXcgCBw



活殺自在DVDシリーズ第2巻「極意の立ち方」/中山隆嗣,道田誠一

¥5,940

Amazon.co.jp


活殺自在DVDシリーズ第1巻 「点の武術」/中山隆嗣,道田誠一

¥4,860
Amazon.co.jp 
 
 秘めたパワーを出す、伝統の身体技法 だから、空手は強い!/中山隆嗣
  
¥1,512
Amazon.co.jp
 東洋医学と武術でカラダを変える 空手トレ! 強くなる鍛え方 [DVD]/中山隆嗣
  
¥5,400
Amazon.co.jp