極意言葉「一眼二足三胆四力」を意識した形の稽古 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の稽古ですが、最初から2組に分けて稽古をしました。


 具体的には「形(かた)」の組と、約束組手の組です。ある程度稽古したら内容を変えようと思っていたのですが、この日はこのパターンが結構はまってしまい、最後までそのまま行ないました。


 今日はその中の「形」の組の話ですが、タイトルにあるように、極意言葉として知られている「一眼二足三胆四力」を意識した内容になりました。


 ただ、実際には「眼」と「足」のところを特に留意し、「胆」と「力」については今回の稽古には含まれておりません。


 また、この組の道場生には極意言葉の話はまだ早いと考え、あえてその説明は避けました。それは、この意識で稽古した組というのが、少年部からの移籍組で、簡単な「理」については説明しますが、あまり難しいことを言っても理解できない可能性が高いからです。そのため、具体的な行為の部分を意識してもらい、いずれその意義を説明しようと思っています。一般部の人たちには、すでに何度も説明しており、同じ場にいても理解度を考えた説明をしているつもりです。もう少し成長したら、同じようにお話ししたいと思っています。


四方拝 初動作 首の向き














 上のイラストは「四方拝(しほうはい)」の動作の一部です。転身して突くところですが、赤線による矢印をご覧いただければお分かりの様に、頭部を動かし、その上で転身し、突く様子を示しています。


 この「形」を稽古する時、転身の前に目線を意識することは再三説明しているのですが、そういう細かなところを忘れてしまう人がいます。


 実は今回もそういう人がいましたので注意したわけですが、それがそのまま極意言葉の「眼」になったわけです。


 「四方拝」の中のこの動作は、それを理解してもらうのに大変有効な箇所であり、最も多くの情報を収集できる視覚の活用は、武術にとって不可欠です。その情報に基づいていろいろな対応が可能になるわけですが、特に方向転換する時には、きちんとその意思を持って行なうことが必要です。ここでは90度の転身をしているわけですが、向きを変える側の様子を確認し、その上で行動を起こすという流れは基本であり極意につながります。


 ただ、この極意言葉の「眼」は視覚というだけでなく、その上の次元の「感じる」というところまでも含みます。


 視覚で得られる情報は「(けん)」とされ、その上位に位置する概念は「(かん)」となります。そのことを説明した言葉に「観の目高く、見の目低く」というのがあります。この解釈の一つが、いわゆる視覚から得られる情報だけでなく、感じることから得られる情報の大切さを説いており、特に戦いの際にはその感覚のほうを大切にしています。


 しかし、その大前提になるのは視覚を磨くことであり、その行きつく先の先に「見」を超えた「観」の世界があるのです。その第一歩に通じる具体的な動作が、この「形」の中の前述した箇所なのです。「形」を単なるエクササイズ的なことと捉えるのではなく、その動きが意味するところまで意識し、稽古するところに武術修行の意義があるのです。


四方拝 初動作 膝の抜き














 また同じイラストが出てきましたが、今度は矢印ではなく、赤丸で膝のところを囲ってあります。


 そこから今度は膝・脚のことだと理解していただけると思いますが、極意言葉との関係で言えば「足」となります。


 今回稽古している人の中には、脚の使い方があまり意識されておらず、動作が固いイメージになっている人がいました。


 そういう動作では、実際の戦いの場でも滑らかな動きにならず、武技の質の低下やバランスを崩すといったことにもなりかねません。それはそのまま負け勝負を意味することであり、それにつながるような身体意識は改善していかなくてはなりません。


 だからこそ、再び極意言葉に則り、スムーズな運足のための留意点として、膝の抜きについて意識してもらい、転身が淀みなく行なえるようにアドバイスしました。


 ただ、1回アドバイスして好転するようならば苦労はなく、こういった微妙な動きについてはすぐには変化は見られません。


 前述の目線については、首を動かすということで見た目にもすぐに変化はありましたが、今回は身体意識の部分であり、動作としてもわずかなことですから、そういった細かな動きをコントロールするだけの身体能力がなければ空回りをします。今回、まさにその通りの状態になったわけですが、今後の稽古を通じて少しずつ改善していけば良いことです。今日の話はその際、具体的に意識しなければならないポイントについて説明したことになりますが、今後も同様の内容で繰り返しアドバイスしていくことになります。その度に受け止める側には違った印象で伝わるかもしれませんが、その時点で最も良い状態で吸収してくれることを願っています。


交叉立ち






















 ところで、「四方拝」には「交叉立ち(こうさだち)」で「裏拳打ち(うらけんうち)」を行なうところがあります。


 千唐流では「形」の前に「基本型」という段階があり、その中にも同様の動作があります


 だから、本来はその段階である程度この動作の部分ができていなければならないのですが、実際に稽古では一つの「形」や「型」だけを延々と続けることはなく、複数の種類を並行して行ないます


 だから、「形」や「型」の序列を前提に、以前出てきた動作だから、といったことでは片づけられません。順序として覚えたことと、そこでの技がそれなりのクオリティでできているかどうかは別物と理解しなければならないのです。


 もっとも、上級者になると事情は異なります。今のお話はあくまでもこの日の稽古を前提としたものであり、同じ稽古内容でもメンバーが違えば異なった記述になります。この点はきちんと念頭に置いていただければと思います。


 さて、この動作についてアップしたのは、極意言葉で言う「足」との絡みであり、運足時の意識とは異なったところをお話ししたかったからです。


 極意言葉で言う「足」には複数の意味があり、前述したことはスムーズな運足に関係することであり、それは迅速性という要素に関わることです。


 でも、今回は土台としての安定性・堅牢性に関わることであり、迅速性とは異なりますが、立ち方の重要なポイントです。


 ところが、脚を交叉させるということと、立ち方の基底面積の関係から、どうしてもバランスを崩しやすいという側面があります。実際、この立ち方の時にちょっと押してみると、すぐにグラつきます。


 その時、本人も自分の立ち方の問題点に気付くわけですが、そこから個別のアドバイスがスタートします。今回も歩幅や膝の角度などについて個別にアドバイスしましたが、動きの中でそれをきちんと実践するには、毎回の稽古を通じて身体に染み込ませなければなりません


 だから、この日の稽古では、通しで行なうのではなく、各動作を分解し、今お話ししてきたような点を繰り返し意識してもらうようにしました。結局、その全てを統合して「形」として行なうことは時間の関係でできませんでしたが、こういうことの繰り返しの中でクオリティをアップしてもらえればと思っています。






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