今年も多くのことがあった。私にとって福島原発事故を総理という立場で経験して以来、政治家としての最大の目標を、原発ゼロを実現し、日本を含むすべての国を自然エネルギーでエネルギー自給可能な国とすることにおいて活動してきた。この目標に向かって世界は着実に前進しているが、日本はどうだろうか。日本ではこの目標に近づいているところと、逆行しているところがある。

 

今年後半には日本国内では、原発について否定的な事実が多く明らかになった。まず福島原発事故の処理費用が少なくとも22兆円と、天文学的な額に上ることを政府も認めた。そして「夢の核燃料サイクル」と言われた「もんじゅ」が破たんし、廃炉が決まった。更に有力な原発メーカーの経営が原発建設費の暴騰で極端に悪化していることが明らかになった。それにもかかわらず、原子力ムラの影響下にある現政権は原発維持政策をとり続けている。

 

現政権が自然エネルギーに関し一部抑制的な政策をとっているにもかかわらず、省エネ住宅や太陽光発電の拡大で省エネや自然エネルギーは前進している。国民の多くは、福島原発事故からの6年間を見て、原発がなくても生活にも経済活動にも支障がないことを知った。更に自然エネルギーの活用は日本経済にとってプラスになることも知った。特に農山村では太陽光を活用すれば食料と同時に電力を供給することが可能であることが少しづつ知られるようになってきた。

 

来年の国政選挙では「原発即ゼロ」を掲げて戦えば、原発維持派を政治的に打倒することは十分可能だ。歴史的に見て、これまでの国際紛争の多くは人口増による食料とエネルギーの争奪が原因の大半を占めてきた。こうした原因を取り除くことは十分に可能だ。

 

50年後の日本は人口は8千万人程度で、政策を間違えなければエネルギーも食料も自給可能な国となることが可能だ。そうした展望の中で日本が将来に向かってどのような国の在り方を目指すべきか、さらには世界がどうあるべきかを来年に向かって本格的に考えてみたい。