安倍総理は早くも来週、トランプ次期アメリカ大統領と会談することを決めた。会談すること自体は悪い事ではない。トランプ氏の登場は世界にとっても日本にとっても大きな不透明要素であることは間違いないからだ。問題は安倍総理がトランプ大統領の誕生に対して、どういう対応を考えているのかだが、その点はまだ不明だ。

 

トランプ氏の登場はこれまでのようにアメリカの対応を待って日本の在り方を考えるのではなく、日本自身が自らの将来を自ら真剣に考えるチャンスでもある。戦後日本は日米同盟を背景に、経済成長を遂げた。ある意味では経済成長することが日本国民の共通目標であったと言っても言い過ぎではない。

 

しかしこれから日本は長期に人口減少が進むことは避けられず、経済が飛躍的に成長することは不可能な時代に入ってきた。新しい日本の共通目標は何か。私はエネルギーと食糧の自給ができる国であって、同時に文化的で平等で、安定した民主主義国であることを目標とすべきではないかと考えている。フランスなどはそれに近い国の一例だろう。

 

エネルギーに関しては福島原発事故が多くのことを日本人に考えさせるきっかけになった。これまで日本はエネルギー資源がないから貿易で生きてゆくしかないと教え込まれてきた。過去の戦争も究極的にはエネルギーと食糧をめぐる争いだった。しかし、福島原発事故以降急激に拡大した太陽エネルギーをもとにした再生可能エネルギーによって、日本でもエネルギー自給が可能であることがはっきりしてきた。

 

そして、エネルギーがあれば、国土は狭くても水に恵まれた日本は食糧自給も可能だ。人口が減少し、エネルギーと食糧の自給が可能であることを基本に、新たな日本の将来像を描くことができるはずだ。こうした前提に立てば日本は文化的で、平等で安定した民主主義国家として維持、発展できるはずだ。

 

トランプショックを前向きにとらえて、日本の将来像を真剣に考え、活発に議論したい。