船橋洋一著の「原発敗戦」(文春新書)を読み始めた。
事故発生直後、総理であった私は、近藤原子力委員長に最悪事故がどこまで拡大する可能性があるかのシュミレーションを依頼し、3月25日に首都圏を含む250キロ圏の避難が必要になるという「最悪のシナリオ」を受け取った。
船橋さんのその後の取材に基ずくこの本では、同時期に米軍も同様な可能性を想定し、自衛隊も「最悪の事態」に備えた計画の策定を本格化させていたという。そしていずれもが、近藤委員長の最悪のシナリオと同様、首都圏全域の避難の可能性を考えていた。
これからの原子力政策を考える原点は首都壊滅につながりかねない原発事故を防げなかった「原発敗戦」という事実からスタートしなくてはならない。原発事故が無かったかのような最近の安倍政権の言動は日本を誤った道に導いている。