安倍総理は、「憲法は権力者を縛るもの」という立憲主義の原則を否定し始めた。


  安倍総理は2006年の第一次安倍内閣当時は、当時野党議員であった私との予算委員会の質疑でも、歴史認識など比較的慎重な発言をしていた。しかし第二次安倍内閣になって安倍総理の姿勢が明らかに変わった。自分のやりたいことを強引にやるのがリーダーシップと思っているようだ。そして憲法解釈も、総理大臣は自分の一存で変更できると、立憲主義を真っ向から否定。自民党内からもさすがに批判の声が上がってきた。


  安倍総理やその取り巻きの発言には国民のグループ間対立をあおり、敵対意識を駆り立てるような発言が多い。


  従来総理となった自民党政治家の多くはこうしたやり方はとらず、野党の主張にもかなり耳を傾けてきた。私が若いころ議論した竹下元総理は特にそうした姿勢の政治家であった。1980年代の末、土地バブルを抑えるため政府が提案した土地基本法の修正協議では、私が中心になってまとめた野党修正案をほぼ全面的に受け入れてもらったが、竹下元総理の見えない応援があった。また自社さ政権などで一緒に活動した加藤紘一さんもそうした懐の深さを感じさせる政治家であった。


  安倍総理には残念ながらそうした懐の深さは感じられない。