今日時点で、日本の原発は全て停止している。こうなったのは、順次定期点検に入った原発について、大飯の2機を除いて、民主党政権下で再稼働を認めなかったからだ。大飯の2機もその後定期点検に入り、停止している。


  日本では原発が全て止まっていても国民生活や経済活動に致命的な悪影響は出ていない。処理できない使用済み核燃料が新たに発生しないという利点もある。太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電も急激に増大しつつあり、海外からの投資も含めて大きな経済効果を生んでいる。


  結局、原発再稼働を求めているのは電力業界の収益を黒字化したい勢力、つまり原子力ムラだけだ。講談社から出版された「原発ホワイトアウト」にあるように、総括原価方式の電力業界は年間数兆円に上る設備投資を割高に発注することにより、膨大の資金をプールし、それをマスコミの広告料、学術、文化、スポーツの協賛金、そして政治的支援などの当てることで、原発反対の世論をうまく抑え込んできた。3・11福島原発事故から2年半、その構造が生き残っているうちに原発再稼働やリプレイスという理屈で原発新設の流れを作ろうというのが「原子力ムラ」の狙い、と「原発ホワイトアウト」の著者は見破っている。


  民主党内のエネルギー関係の会議でも「2030年代原発ゼロ」の民主党の方針を見直せと原子力ムラに連なる労働組合出身の議員が発言したそうだ。さすがに同調者はほとんど無かったようだ。


  逆に、自民党内で小泉さんなど「原発ゼロ」の発言が目立っている。民主党は「社会保障と消費税の一体改革」「コンクリートから子供へ」など自民党が長年先送りにしてきた政策を勇気を持って進めた。福島原発事故に直面した経験から、原発ゼロへ政策転換したのも民主党政権だ。民主党現執行部も自信を持って原発ゼロの旗を高々と掲げ、政策論争を展開してほしい。