福島原発からの汚染水漏洩事故に対して、原子力規制委員会はレベル3の原子力事故と認定した。我が国において、福島原発事故以前で最も大きな原子力事故が1999年のJCO臨界事故のレベル3であることからしてもその重大性は明らか。


 汚染水漏洩事故に関して昨日の「国会エネ調」をはじめ何度か東電、資源エネルギー庁、原子力規制庁から話を聞いたが、対策を進める体制がはっきりしない。


 3.11の福島原発事故では事故発生から4日後の3月15日に、政府東電統合対策本部を設けて政府と東電が一体で対策を進めた。しかし今回の汚染水漏洩事故では政府と東電の統合対策本部は存在せず、政府のどこが指揮を執り、東電にだれが指示しているのかはっきりしない。

 

 重大な原子力事故が発生すれば、総理を本部長とする原子力災害対策本部が設けられる。福島原発事故発生当時は経産省資源エネルギー庁の一部門であった原子力安全・保安院が原子力災害対策本部の事務局を担う仕組みになっていたが、機能しなかった。そこで福島原発事故の後、原子力安全・保安院を解体し、経産省から引き離して作られたのが原子力規制委員会であり、その事務局が規制庁である。そして原子力災害対策本部の事務局も原子力規制委員会と規制庁の役割となり、責任は大きい。


  東電はどうしても経営上の判断から対策にかかる費用を気にする。海洋汚染は世界的な関心事であり、国益にかかわる重大事である。東電に判断を任せるのではなく、原子力規制委員会と規制庁が専門家として本部長たる総理に意見を具申し、政府が責任を持って判断すべきであることは当然だ。