リトアニアの国民投票で「原発反対」が過半数を大きく超えた。福島原発事故以来、世界的に原発に対する不安が高まった結果である。


  日本ではどうか。福島原発事故以来、高台に電源車を配置するなど、緊急対応がなされただけで、本質的安全対策は十分には進んでいない。テロなど何らかの原因で、原発の全電源喪失が生じた場合には、福島原発と同じようなシビアアクシデントが起こる可能性が大きい。


  経済界の一部と自民党は「原発ゼロ」は無責任という。しかし「原発事故はもう起きない」と言うのか。それならその根拠を示してほしい。単に物忘れがいいということでは済まされない。


  来週には「東電福島原発事故・総理大臣として考えたこと」という題の私の書いた本が出版される。


  その中に、福島第一原発を中心に半径250キロの円を描いた地図を入れた。その円内には、青森を除く東北地方の大部分、関東地方の大部分、そして新潟や長野の一部も含まれる。この範囲に住む人は首都圏の3千万人を含め5千万人にも上る。近藤原子力委員長の示した最悪のシナリオでは、この範囲の人々の避難が必要となるとあった。そうなっていたらと思うと、今でも背筋が寒くなる。