――イニシエーションラブ initiation love.


side-A

僕がマユに出会ったのは、
初めて合コンに呼ばれ、
互いに好印象を抱いたのがキッカケだった。


やがて僕らは恋に落ち、
僕は彼女に「たっくん」と呼ばれるようになった。


僕は、マユの好みの男性になろうと
必死に努力をした。


そんな僕は、日々色々なこともあるが、
公私共に充実している毎日を過ごせている。


僕は、色白で可愛らしい彼女のことが
本当に大好きだった。


互いに、会える時間は限られていたが、
それは僕にとってかけがえのない大切な時間だった。

side-B


そして、二人はクリスマスの夜を迎えることとなる――



1980年代という、現在から比べると少し前の時代の恋愛小説。
その頃は、携帯なんてなかったし、不便利さと引替えに一生懸命で素直な恋愛をしていた、そんな誰もが経験しているような、誠実でいて相手の為ならば全てを捧げてもいい、と思わせる青春の一時が描かれる。

小説を読み始めると、そこは至って普通の恋愛小説――普通過ぎるほどの、極々平凡な恋愛小説が淡々と繰り広げられていくのだが、、、最後に読者が知る事となる事実は?

もしかしたら、そのあっさりとした展開に、何も気付かないでいる人も多いのかも知れない。
しかし、そこはメフィスト賞受賞作家の乾くるみさん、ということで、何か、があるのかも知れませんよ?
解説の~再読のお供に~で、気付く人もいるかも知れないし、それでもまだ分からない人もいるかも知れない、、、

この小説は、極力バイアス(先入観)を無くして読んで欲しい。
何かあるのだろうか?と気負って読んでも、ちょっとした違和感をどこか感じながらも、恐らく最後まで読み進めてしまうだろう。それくらい、巧妙でいて自然過ぎる恋愛小説。

是非、ミステリを読んだ経験のない女性に読んで欲しい、と思う小説。恋愛小説は女性好みだろうし、休日や週末にたまには本を読んで過ごす、というのもいいんじゃありませんか?
読後、違和感が消えないという人や、謎を知りたい方は、ウェブに情報を求めるのも良し、もう一度読み直してみるのもいいんじゃないでしょうか?


イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)/乾 くるみ

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