癌患者にとっての悪液質とは | 母の病状記録

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母の病状を記録したブログです。少ない選択肢の中で今の選択で本当によかったのか?ここに来て思い悩む日々。記録することで心の整理をしたい...そんな思いで記述しています。

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癌患者にとっての悪液質とは、癌細胞が自ら増殖するのに必要な栄養素を奪い取るため、正常な細胞へは栄養素がいかず、必要なカロリーが摂取できずに痩せ細ってしまい、癌細胞の増殖にともなう各種臓器への破壊や圧迫、トキソホルモンという毒素の遊離等により癌患者を死に至らしめる状態のことを癌性悪液質と言われます。

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母の場合、
4度目の入院の時、すでに微量の吐血と便にも血が混じっていたことを見ても、癌の増殖を止めきれず、腸壁へ穴を開けて、そこから出血しているのが想像つきます。入院当初、十二指腸の軌道もかろうじて開いていたので、便からも出血が確認されました。腹痛がひどく、熱が37度強ありました。明らかに癌細胞が腸壁を破壊し、その穴から細菌が侵入し、穴付近の体内側に膿が溜まり、熱を発していたよう思われます。


処置として、まず細菌をやっつけるべく点滴で抗生物質を投与しました。腹痛を抑える鎮痛剤。そして体が衰弱しているため、栄養も点滴で補給しました。その状態が数日続いたころ、CT検査によって十二指腸の閉塞が確認されました。つまり胃から腸への軌道が閉じたことを意味します。膵臓癌の増殖にともなって少しずつ大きくなっていたようです。完全に閉じるぐらい大きくなっています。そのため急遽鼻から胃袋へ管が通されました。ハルン・バッグ2500mlという器具です。管の先端は胃袋へ、そして末端には透明な袋が付いていて、その袋に胃の中の物が溜まるようになっています。


そして、癌の増殖が認められたので、そこから悪液質に対しての処置がとられました。つまり栄養を今までの半分にカットされます。栄養を口から摂取できない彼女にとって、点滴を半分に減らされるのは致命的です。日を追うごとに痩せてきています。今では足腰が弱くなり、介助なしでは立ち上がれなくなりました。


増殖を抑えるために栄養素を減らし、細菌をやっつけるために抗生物質を投与し、延命のための処置だとは思いますが、本人も私たち家族もどうすることもできません。もちろん安楽死など法律的に認められていませんし・・・ つくづく人の最後のあり方を考えさせられます。