湖北献血ルームは結局廃止 「発展的閉鎖」と苦しい言い訳 | 近江毎夕新聞

湖北献血ルームは結局廃止 「発展的閉鎖」と苦しい言い訳

 献血推進団体「一〇〇〇人献血の会」らの要望で昨年三月に施設廃止の「白紙撤回」が決まっていた「湖北献血ルーム」(長浜市列見町)が、六月二十八日に結局、廃止されることになった。
 県赤十字血液センターがルームの廃止方針を示した一昨年九月以来、一〇〇〇人献血の会では一万五千人余りの存続署名を集め、長浜市や同市議会も存続を求めたことから、センターが廃止方針の撤回を表明するまでに至ったものの、以来一年、当初の廃止期日とされた今年三月末からわずか三カ月の「延命」に終わった。血液センターの「白紙撤回」方針は、結果的に廃止に向けた説得のための時間稼ぎだったことをうかがわせている。
 廃止撤回が発表された昨年三月以来、一〇〇〇人献血の会、長浜ライオンズクラブなど市内の十三団体と長浜保健所が「湖北の献血推進を考える会議」を組織し、ルーム継続の展望を探っていた。
 同会では、昨年八月、ルームの利用者増加に向け、献血ルームを大型商業施設の近隣に移設し、献血パートナー制度の積極活用などを盛り込んだ「提案書」を血液センターに提出していたが、同センターでは「ルーム設置は一年で三百六十四日開設し一日五十人以上の献血があることが条件」などとした基準を示し、提案書を「具体性に欠ける」として、事実上却下。その後▽国内の血液製剤の製造管理、検査を昨年三月から全国七ブロックごとの血液センターと製造所に集約させた▽ブロック制による広域運営で、採血からセンターまでの距離的制約が発生し、血小板や血漿(けっしょう)などの成分献血で得られる血液成分は二時間以内に製造所に運ぶ必要があるものの、近畿ブロックの拠点となる茨木市には湖北献血ルームから時間内に搬入できない―などとして、ルームの存続は困難とあらためて強調していた。
 その一方、近畿ブロックでは赤血球が不足している現状から▽長浜を県内の赤血球確保拠点とし、毎月二回、大型店やホテルで市民に全血献血を呼びかける「市民献血デー」を定期開催し、移動採血車を配車する▽市内の高校、大学、専門学校の学生に献血を呼びかけるなど「若年層献血の推進」に取り組む▽医療機関の要請に応える「四百ミリ㍑献血」を推進する▽成分献血体験ツアーを実施する―ことを提案。
 「湖北の献血推進を考える会議」は今年三月の四回目会合で、ルームの廃止やむなしとの空気が支配的となり、四月の五回目会合でルーム廃止を「発展的閉鎖」として承認した。会議は今後も継続するという。