黒壁経営改革に大ナタ? 新社長 コンサル会社社長が兼務 | 近江毎夕新聞

黒壁経営改革に大ナタ? 新社長 コンサル会社社長が兼務

 長浜市の第三セクター会社、株式会社黒壁(元浜町)は二十日に臨時株主総会と取締役会(十六人)を開き、大阪市の経営コンサルタント会社、(株)コーポレイト・ソルーション・マネージメントの弓削一幸(ゆげ・かずゆき)代表取締役(45)=写真=が黒壁の代表取締役社長を兼務することを決めた。
 弓削氏は長浜市高月町東柳野出身で、市の地域経営改革会議の委員を務めているが、これまで黒壁との接点はなく、落下傘型の社長就任で赤字体質が続く同社の経営体質に大ナタを振るうとみられる。社長就任の取締役会で示された経営改革方針「黒壁ルネッサンス」では、黒壁美術館の廃止、指定管理事業への参入、黒壁と協力関係にあった不動産会社(株)新長浜計画の吸収など、これまで同社の経営改善計画にはなかった内容が唐突に示されており、強力なトップダウン型の経営改革が同社がこれまで築き上げた社風をどのように変えるか未知数の部分が多い。「まちづくりに成功した希な第三セクター事業」として全国的に注目を集め続けた黒壁だが、事実上、会社再建専門のコンサル会社に経営を委ねることで、経営実態の厳しさ、再建、展望の難しさを露呈させる結果になった。これまで社長を務めた髙橋政之・長浜商議所会頭は会長に退いた。株主総会では取締役の人数現行七~十六人を、「三人以上」に縮小する定款変更も承認され、権限が社長に集中する筋道をつけた。
 弓削社長は虎高、京大法学部を経て、総合商社の丸紅に就職するものの、翌年に退社。社会人アメフトの「サンスター・ファイニーズ」でプロ生活を送った。その後、公認会計士の資格を取得し、監査、税務、国際会計、経営アドバイスなどの専門サービスを展開するKPMGの日本法人に入所。平成十五年に、資産査定や、事業評価、社員再教育など、会社の再建、経営改善をコンサルする会社を設立した。
 弓削社長は二十日に長浜市役所で藤井勇治市長らと会見を開き「地元にガラス文化の蓄積がない」「直営店に買いたいものがない」などと黒壁店舗展開の現状を批判。改革方針では「ガラス文化復興」などを掲げ、黒壁美術館を廃止し、フレンチレストランに変えるほか、一昨年改装オープンしたばかりの物販店、黒壁六号館「青い鳥」のギャラリー化、ガラス体験教室の規模拡大など、収益性に課題があるとされる建物のリノベーションを盛り込んでいる。また余呉町域の廃校を利用した工房開設、工芸村の設置なども明らかにした。