日比野さん電算機対局に挑戦 25日 「将棋人生のすべてを賭ける」 | 近江毎夕新聞

日比野さん電算機対局に挑戦 25日 「将棋人生のすべてを賭ける」

 コンピューター将棋ソフトの最高峰に、元滋賀県アマ名人が「将棋人生のすべてをかけて挑戦」する、電算機と人間の対局が二十五日午後二時から、長浜市地福寺町の市民交流センターである。
 世界コンピューター将棋選手権で四回連続優勝し、世界最強ソフトと称される「激指(げきさし)」(毎日コミュニケーションズ発売)の最高難易度ランクと対局するのは、日本将棋連盟長浜支部長の日比野静也さん(53)=長浜市相撲町、写真=。近年、ソフトの改良進化でプロやアマ名人がコンピューターに敗れるケースが増えているが、日比野さんは「ある局面での『詰み』を読む力はコンピューターの情報処理能力の方が圧倒的に強くなっている。しかし読みの深さ、形勢の劇的な変化に対応する能力では、未だに人が勝っていると確信している。人とコンピューターの能力が互角になったといわれる現在、挑戦する意義は大きい」と真剣そのもの。アマチュア大会のA級で数々の優勝歴があり、昭和六十三年には県アマ名人の称号を獲得。現在は湖北で将棋の魅力発信、将棋ファンの裾野拡大に尽力する日比野さんの「すべてをかけた挑戦」という。
 対局は日本将棋連盟長浜支部が主催し、コンピューターは市販品だが、ハード部分は最新のものを使う。一般の見学可。


トッププロを負かす
 将棋ソフト開発は一九七〇年代中ごろから始められ、当初はアマチュアにも及ばない実力から「人間のような大局観を持った思考ができないコンピューターが人の能力を上回るのははるか未来の話」とされていた。しかし一九八〇年代には、コンピューターゲームの普及に伴い、将棋ソフト商品の開発、改良が加速。二〇〇〇年代以後、アマ県代表クラスを打ち負かす実力を備え始め、平成十七年(二〇〇五)にはソフトの「激指」が角落ちでプロ棋士に勝ち、アマチュア竜王戦でベスト十六位入りするなど、進化を見せつけた。同年、将棋ソフト「タコス」がプロ棋士(当時五段)を公開大局で追いつめたことから、日本将棋連盟はプロが公の場でコンピューターと対局することを原則禁止としていた。平成二十年には世界コンピューター将棋選手権のエキシビジョンマッチでアマ名人がソフト「激指」「棚瀬将棋」に敗れ、今年十月に行われた清水市代女流王将(41)と、「激指」など四種ソフトの多数決合議型コンピューターとの対局では、六時間三分の激戦の末、八十六手で清水女流王将が敗れ、電算がプロトップの実力を上回ったとの観測が流れていた。このとき挑戦者側の情報処理学会は電算機を百六十八台連結して処理スピードを速めていた。