県内も新たなスーパー戦争か バロー子会社のユースが湖北に出店 | 近江毎夕新聞

県内も新たなスーパー戦争か バロー子会社のユースが湖北に出店

 県内で急速な店舗展開を図る(株)バローの一〇〇%子会社、(株)ユース(古谷光雄・代表取締役社長、本社=福井県福井市)が長浜市神照町の国道8号線沿いに「(仮称)ユース長浜店」を建設し、十月二十一日にオープンを予定している。店舗は鉄骨造平屋建てで店舗面積は約千七百四十一平方㍍。食料品、日用雑貨品を販売予定。
 ユースの親会社、(株)バロー(田代正美・代表取締役社長、本部=岐阜県多治見市)は米原市以北を「ユース」、以南は「バロー」で二十店舗前後の展開を図る計画とみられ、米原市宇賀野の宅地、商業施設開発予定地にも出店を計画している模様。彦根市を本拠に店舗展開する(株)平和堂や、長浜、米原両市のユース出店地の至近で地域定着型スーパーを経営する(株)フタバヤとの新たな顧客争奪戦に発展しそうだ。
 バローの店舗展開手法は、特定地域に集中して出店を図り、経営効率を高めて商圏内のシェアを支配する通称「ドミナント戦略」と呼ばれるもので、既存のスーパーを蹴散らすような参入が特色。長期の景気低迷と、「スーパー飽和地区」「オーバーストア」といわれる湖北地域での新規出店は既存スーパーのほか、中小の小売店にも大きな影響を与えそう。
 ユースは、平成十七年に全株をバローに売却しグループ傘下に入ったが、独立経営時代の平成十年、滋賀県に初進出し「ユース高月店」(高月町東物部)を開店していた。バローは平成二十年に「ピエリ守山店」(守山市今浜町)のテナントとして県内初進出。今年四月に「バロー八日市店」(東近江市東沖野一丁目)、翌五月に「バロー草津店」(草津市草津町)、七月には「バロー彦根店」(彦根市西沼波町)を相次ぎ開店させていた。 
 バローは昭和三十三年に設立した「株式会社主婦の店」が前身。スーパー、ホームセンター展開を図りながら、ドラッグストアや物流センターを設立し、平成十二年ごろから急激な店舗展開を図り、現在は岐阜、愛知、富山、静岡、石川、滋賀、三重、新潟、富山各県に百三十数店舗を展開している。国内スーパーの中で最も販売管理比率が低いチェーンとして有名で「日本のウォルマート」などと評される。社員約千八百人、パートなど九千人弱。資本金百十九億千六百万円(昨年三月現在)。今年三月期の営業収益三千四百四十九億円、純利益三十九億円。
 ユースはバローグループ企業十六社の一つ。前身は昭和三十八年に福井市内にユース一号店を開店させ、四年後に株式会社化した(株)ユース。北陸で店舗展開を図り、平成十一年のピーク時には三百九十億円超の売り上げを誇ったが、その後、低落傾向が続き、六年後の平成十七年、北陸三県中、唯一店舗のなかったバローがユースの全株式を買収し、子会社化していた。
〔写真〕上=米原市宇賀野の開発予定地、下=長浜市神照町のユース工事現場


既存店は静観
 バロー、ユースの滋賀県での急激な店舗展開に対し、長浜市の地元スーパー、フタバヤなどは危機感を強めているが、今のところ特別の対策はなく静観の構え。「これまで通りお客様第一の、経営の基本姿勢を徹底させることで対応していく」(フタバヤ)、「様々な対応策を検討しているが、これまで築いてきた顧客との信頼関係が当社の最大の資産。今後も信頼に応えていくことが大切」(平和堂)などとしている。