赤ワインとステーキで大惨事 | モラハラV系バンドマンに飼われてみた
翌日の夜21時過ぎ。
彼からLINE。

「向かう!muuんちで仕事してもいい?」
「うん。いいよ」

私は彼が来るものと信じて既に晩ご飯を作り始めてた。
「今ちょうどこれができたとこ。焦げた」





「やばなにそれ!?!今日なんもくってねー」
「ジャーマンポテト」
「やばびび」

「あのね。肉買っちゃった。ステーキ」
「!!!!!!!!!!!」
彼が肉食べたいって言ってたから、めっちゃ奮発して霜降りのいいお肉。
「ああああいあ。テンションあがってきたやばい。まじすか。お腹すいたお酒のみたい。もうつかれたー!!!!!!」

「明日もレコーディング。その宿題やんないと」
そっか。大変。じゃあ飲めないね。
「飲むっしょ」
え?大丈夫なの?
「しらん!」
私は飲むけどね。
だって飲まないと緊張しちゃうから。
なんだかんだ言って彼とあんまり会ったことないんだもん。
シラフじゃドキドキしちゃう♡

「のんどけー!!!俺はこーひーをのむ」
「新しい美味しいコーヒー豆仕入れたよ笑」
私は禁煙してからコーヒーの味がわかるようになって、香りとかこだわるようになってたけど、美味しいコーヒーを淹れてあげても彼はインスタントとの違いがわからないと言っていた。苦笑

「かぁぁあーー!!!!!!もうあかん。やる気を削がないでくれー、!!!俺は絶賛チェーンスモーカー(;´Д`)」
「うちは禁煙」
「知ってます。てか。お部屋整理?しないとだよね」
はい?
それはいつの話?
と思って聞き返したら、
「え?」
って一瞬焦った様子。
あ、一緒に住む話はわかってるから大丈夫だよ。

「今日?」
「いや。とりあえず。どんなかんじにするか多少見ておきませんか?」
って、なんで敬語なんだろう。
この時は深く考えなかったけど、彼にとっては家が最優先事項だったんだよね。

「いじっていいものとダメなもの」
うんうん。
って、まさかあんなことになるとは思わなかったけど。
亡き母の部屋。亡き母の遺品整理。
勢いで捨ててしまってよかったんだろうか…と今でも思うことがある。

恋は盲目。後の祭り。笑

22時。
「駅ついた」
って連絡。
「迷子にならないよーにねー」
「こっから長いから大丈夫笑」
と宣言通り、なかなか来ないなーと思ったら電話がかかってくる。

「迷った」
マジか!!!
なんでまた迷うかなー!!!

そしてずっとずっと会いたかった彼にやっとやっと会えた。
何気に1ヶ月ぶりなわけで。
私は会いたくて死にそうだったのに、彼は
「毎日LINEしてたから、そんなに会ってない気がしない」
って。
私は顔忘れそうだったよって言ったら、
「ひどい」
だって。

そう、この頃から私の彼に対する依存が始まっていたんだと思う。
で、そんな自分をどうなの?って思ってる自分もいて。

彼はいつものようにお着替え。
いや、その前にお風呂入ってたかな。
前回来た時もそうだったかも。
「シャワー浴びてもいい?」
って、ちゃっかりお風呂に入る。
で、私も寒いからあったまれるようにって彼のためにお風呂沸かしちゃってるしね。

そしてご飯。
ステーキ。
俺が焼くよって言ってくれて、任せたら大惨事になる。

ステーキ焼くの得意って言いながら、フライパンに赤ワインぶち込んだら思いっきり跳ねて、蓋してくれればいいのに、わーって火から逃げるんだもん!!
おいおいおい。
白い壁に赤ワインが飛び散る。

一応、雑巾でささっと拭いてはくれたんだけど、そんなんじゃ落ちなくて、せっかくステーキだしあったかいうちに食べた方がいいと思って、とりあえず掃除は今度でいいよって言ったんだけど、もうやらなくていいと思ったみたい。
それっきり。結局今でも染みは残ったまま。





これもう落ちないし。涙

食後、彼は宿題って言ってた仕事を始める。
私は録画してた映画『クローズEXPLODE』を観てたけど、その横でレコーディングしてきた曲を私の電子ピアノで音程を確かめながら一音一音直してて、同じフレーズを何度も何度も流してるから自然と彼の作った曲を覚えてしまう。
イントロ部分なんて何回聞いたことか!
でも途切れ途切れだから、壊れたレコードみたい。
全体がわからなくて結局どんな曲だか最後までわからないという。
出来上がってから通しで聴かせてくれて、「あ、こんな曲だったのね」と。

売れるための曲だとか言って、ヴィジュアル系の客ってキャバ嬢とか風俗やってる子ばっかだから、そんな彼女たちの気持ちを歌にしたとか、共感するような歌詞書いとけば心を掴めるみたいなこと言ってて正直ちょっと引いたけど。
ファンのことを上から目線で馬鹿にしちゃダメでしょ。笑

この時の私は彼に恋してるし、正直彼の音楽はよく知らないから聞き流す。
売れなくても好きなことやってるミュージシャンの方がカッコイイと思うけど、別に音楽をやってる彼を好きになったわけじゃないから、どうでもいいやって感じ。

「酔っ払って邪魔してもいいからね♡」
って言ってくれたけど、私はおとなしく映画に集中するフリしてた。
本当は彼が気になってストーリーよくわかってなかったんだけど。笑

彼の仕事も終わりかけた頃、映画も終わる。
『クローズEXPLODE』のエンディングの曲を聴いて、
「こんな完成度の高い曲聴かされちゃうとなー」
とか言ってた。
Dragon Ashだよ。
いや、そりゃかっこいいよ。笑

結局ずっと仕事してて終わったの深夜で
「ゆっくりできなくてごめんね」
って言ってくれた。
ちょっと前まで繁忙期だった私を労って
「お疲れさま。頑張ったね」
って頭ポンポンしてくれた。

きゅん♡
頭ポンポンは王道だからね。

出会って2ヶ月。
毎日LINEしてたけど、実際に会ったのは1ヶ月ぶり。
ふたりきりで会うのは5回め。

なのに、家来て、風呂入って、飯食って、仕事して寝る。
どうなのそれ!?
私は恋の熱に浮かれちゃって、彼に会えただけでただただ嬉しくて、このおかしな状況をなんとも思わないどころか、忙しい彼を癒してあげられてる♡なんて思ってたわ。
馬鹿なのか?私は!
浮かれポンチもいいとこじゃん!!

同棲前からこれじゃあ、彼も調子に乗るよね。笑