バアちゃんの溜息とむー左衛門の鼻息 | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

ばあちゃん
野人エッセイす
予定の倍のコミカン60キロ
野人エッセイす
200g 見事なユズ
野人エッセイす
2個で250g
野人エッセイす


バアちゃんからの電話でむー左衛門のみかん船はまたもや出航した。

コミカンを収穫したらしいが、予定の30キロは超えているだろう。

コンテナ4つ、60キロあったがまあよい、全部引き取った。

コミカンに人気が集中、底をついていたから丁度良い。

みかんも山ほどとって来ていたが、100キロ出てまだ200キロ残っている。

目の前にあった見事なユズをどうするのか聞くと、バアちゃんはため息つきながら話してくれた。

直売所に出したらこれでは駄目と返品されたらしい。

バアちゃんが懸命に書いた立派なポスターには「無農薬無肥料ゆず」とイラストまで入っていたが、「無農薬」「有機」表示は厳密な審査と認可が必要、お金も時間もかかるし取得はとてもバアちゃんには無理だろう。

農薬を使っていないならそれで問題ないのだがお役所はそうはいかない。


「わかった、バアちゃん、むー左衛門が全部引き取る」


鼻息も荒くそう言うと・・・


「まあだ・・山にゆずの木が何本も・・もったいないなあ~」


「・・ ・・ぜんぶ・・とっておいで」


「キンカンの木も6本鈴なりでもったいないなあ~ あのキンカン本当に甘くて美味しいのに・・」


「・・ ・・ぜんぶ・・とっておいで」


「小さいから一個一個綺麗にとるのが大変、腰が・・・」


「鈴なりの枝ごと切って来なさい、風情があって読者も喜ぶ」

「そ・・それだけ・・か?」


「ハッサクの味はそりゃあもう一番人気で・・」


「それも・・ぜんぶ・・とっておいで」


「ハッサクの木、数えきれないほどあるけど・・」


「数えられるだけとっておいで・・キンカンもハッサクも正月明けでいいから」


「ありがとう~~」


伊勢の国屋むー左衛門、こうなったらバアちゃんと心中するつもりでみかん売りまくるしかないな。

死んだじいちゃんの分まで頑張ってあげよう。

収穫手伝おうかと言うと、1人で大丈夫、家まで取りに来てくれたらそれでいいと言う。

収穫した山から家までは会社員の息子が夕方運んでくれるらしい。

じいちゃんがいなくなったので、ミカンもコミカンもユズもハッサクも肥料も農薬もやれない。

キンカンは昔から農薬も肥料もやっていない。

「無農薬無肥料」と書いても良いではないか、細かいこと言うでない。

バアちゃんが元気なのはこのキンカンを食い続けたおかげかも知れんな。

来年は、あの甘い切干大根も旨い干し柿も引き受けてあげよう。

柿も大根もあるのだが、たくさん作りたくても注文がないと作れないのだ。

むー左衛門一行につられて、生まれて初めて切干大根を生で食べたがその甘さにびっくりしたと言う。

長生きせ~よ、ばああちゃん、猪にケツ突かれんようにね。


スーパーよりはるかに安くなるだろう農薬肥料を使っていないこのユズとキンカンとハッサク、希望者はいるかな?

なかなか手に入らんぞ・・・色はよくないが皮は安心して使える。

ちなみに、ユズは今週末までに送る予定だが、1キロ¥600、100gので一個60円、小さなハッサクくらいある200gの特大でも120円、平均120g70円くらいかな。

コミカンは1キロ¥500。

ユズ5キロと、コミカンと半々で5キロを予定している。