身は細胞が活きているうちにむー塩を軽くあてて
完成
スミイカ、通称モンゴイカの生塩辛を作るのは久しぶりだ。
30匹の中から10匹の身だけを塩辛にした。
塩辛は普通最も肝が肥大、安価で大量に手に入るスルメイカ全体を使う。
数の少ないスミイカは高価で刺身用、アオリイカなどと同じく肝は大きくない。
つまり、スミイカやアオリイカで塩辛を作る人などほとんどいない。
作れば高価な塩辛になるだろう。
身は10匹でも肝は20匹分使えたから最高の生塩辛が出来た。
「生」と言うのは、冷蔵で賞味期限が1週間と短いからだ。
保存用ではなく嗜好品の塩辛であり、皮やゲソは使わず身だけを使用、そのまま刺身でも食べられることが条件だ。
塩味も最初から薄く、作ってすぐに食べられるが2日目から5日目くらいが一番旨い。
つまりこの生塩辛は手の込んだ料理なのだ。
塩は完全な海水塩「むー塩」、味醂少々、レモン汁、それに刻んだレモンの皮少々。
塩辛くはないからそのままいくらでも食べられるし酒もご飯もすすむ。
ヤマハ時代、この塩辛を市販の塩辛のビンに詰めて酒呑みの同僚にプレゼントしたら・・翌日・・
「3千円出すから、頼むからまた作ってくれ」と頼まれた。
そして再びスミイカ釣りに出かけて作り無料で差し上げた。
まあ、早い話、食ったこともなく一般的ではない塩辛だ。
イカそのものの味も違う。
コウイカの形は何故、足も短くずんぐりむっくりしているのか、独特の味の秘密はそこにある。
ヤリイカ、スルメイカ、ケンサキイカなどは底に近い中層で魚を主食にするから泳ぐ速度も早く形がスマートだが、コウイカ類は底に「デン!」とセミみたいにとまっているのだ。
アオリイカはこの中間くらいで浅瀬の藻場にいる。
コウイカ類は魚も食べるが主食はカニやエビなどの甲殻類で、岩場や泥底でエサをじっと待っている。
だから肉厚で、肉質もタコのようにしっかりとしてコリコリしているのだ。
イワシや小魚を食うイカ、海老やカニを食って育つイカ、どちらが旨イカな?
回遊魚のブリやカンパチはイワシやサバなどだが、マダイは海老やイカなどだ。
まあそれぞれの良さはあるが、野人がモンゴウイカ類の肉質を好む理由はそこにある。
スミイカの塩辛は80gづつ10パック冷凍保存している。
何が何でも食ってみたい人はマリンビレッジに来ると良い。
価格はイカ刺し並みの¥800と高価だが、きっと満足するだろう。
シオカラの常識も変わる。