新農園は見渡す限り砂漠。
砂や石がむき出しになって真夏と変わらないサバンナの様相だ。
8月初旬に造成、猛暑の上40日間雨もなく草も生えず、豪雨で種や苗と共に表土が流され、短い秋の次は寒波に見舞われた。
田だったムー農園と違って元々砂地で、掘り返すイモ類などの「根菜」用として造成したのだが、ジャガイモやサツマイモなどの植え付けは今春から初夏にかけてだ。
それまでは葉野菜の生育を確かめる実験として多種大量の種を蒔いた。
初年度は下草を生やすだけでも良かったのだが、砂漠の再生実験としては丁度良い。
出来が悪いのはわかっていたから白菜やキャベツなどの苗は少ししか植えていない。
しかし・・天候もあるだろうがこれほどとは思っていなかった。
ほとんど期待していないと言うことは少しだけ期待していたと言うことなのだ。
ムー農園と時期と種類を合わせて種蒔き、苗植えを実施したのだが育ち方がまるで違う。
同じ無施肥でここまで差が出るのは土壌構造の違いであり、その構造を築くのは草達だ。
耕す近代農法に肥料が不可欠な理由はここにあり、肥料は魔法の秘薬とも言えるだろう。
言い換えれば、耕さなければ肥料はいらなくなると言うことにもなる。
この実験から言えることは、協生農園の造成は春先が一番良いと言うことだ。
春から夏にかけて草を生やさなければ環境は整わず、野菜は自力で夏を越せない。
また一夏では完全な土壌構造は構築出来ず、成長も味も本来のものではない。
そのことはムー農園の記録からわかっている。
丁度1年遅れで造成したすぐ隣の畑と比較すれば一目瞭然だった。
春に造成すれば、夏を二つ越した翌年の秋以降からはやや安定、つまり1年半後だ、それが最短時間でそれからは年ごとに面白くなる。
この砂漠のような畑が将来どうなるかと、造成から植え付けまで協力してくれた地主さんの息子も撮影記録をとっている。