ギンナンを食べる動物は、虫以外ではリスなどのほか悪知恵の働く人間しか食わない。
前回の「銀杏の知恵」では、種は鳥に運ばせずリスなどに持ち運ばせて埋めさせると述べた。
それはリスなどが冬に備えて付近の土に実を埋めるのを何万年も見ていたからだ。
しかしギンナンの果肉の猛烈な臭気には確固たる目的がある。
野人説では、あの臭気は・・人間の祖先のような「猿」に食わせない為の銀杏の優れた知恵なのだ。
人類よりもはるかに歴史の長い銀杏の果肉は、他の実と同じように最初は甘かった。
あらゆる生き物に種を運ばせようとしたのだが上手く行かなかった。
期待外れと言うか、マナーの悪い輩が続出したのだ。それらは集団でやって来て一気に食べまくった。
その輩とは猿で、何でも食う猿はナッツ類が大好物。
そして人と同じでマナーが悪く、果肉だけでなく種まで食い破る。
しかも熟す前から食うから銀杏にとっては招かざる客だ。
仮に種ごと飲み込んだとしても・・種を土に埋めることなどしない。
あたりかまわずウンチするだけだから発芽は難しい。
そこで・・銀杏は考えた。
どうすればエテ公に食われずに済むか、嫌がるかを。
考え抜いた揚句対策を講じた。
それには気が遠くなるような長い年月を要した。
銀杏の苦労話は・・
2に続く