シャシャンボの実
これを見かけたら食ってみなさい・・と言っても知らない人のほうが圧倒的に多い。
「シャシャンボ」は暖地性のブルーベリーで海岸よりの山地に自生している。あるところにはいくらでもあり、小粒だが大量に採取出来る。大きさはワイルドベリー、ビルベリー程度だが穂に鈴なりになるから小枝ごと採取する。味はワイルドベリーほどのジューシーさはないが甘くて美味しい。ベリー類に含まれる「アントニオイノキシアニン」も豊富だ。
ムー農園にも植えようと思ったのだが、付近の山にいくらでもあるからやめた。しかも誰も知らないから採らないので悠々と独占採取出来る。
以前、奈良の大仏殿の横のほうにある建物で名前は忘れたが、石段の途中に大粒のシャシャンボが鈴なりになって目の前に垂れていた。「あら~ラッキー!」と簡単にもいで食べていたら、後ろから来た人達が不思議そうに見て通る。教えてやると皆食べ始め、やがて石段に十人以上が群がって食い始めた。目の前に野生のブルーベリーがぶらさがっているとは誰も思わない。そして背の届く所のシャシャンボは丸裸になってしまった。葉の見分け方や樹皮の特徴など講義もやらされた。シャシャンボは隔年結果、つまり1年おきに実がなる傾向が強く、木によって大きさも味も違うから大実でジューシーな実が鈴なりになる木を選べばよい。
これだけ健康志向でワイルドベリーがもてはやされる時代だ。輸入などせずにもっと国内資源を有効に使えば良いのだが。栽培ではなく自生だから生命力も抜群だ。
以前、ヤマハのホテルで料理長に教えたら、おばちゃんを数人連れて付近の山で10キロ近く採取、それをシフォンケーキやフルーツソースにして数百人のクリスマスディナーショーのデザートにした。野人は試食第一号だったが、それは見たこともない鮮やかな紫で旨かった。
野人はパンやお菓子は作れないので生で食うしかない。酒もあまり飲まないので、ウォッカに浸けたら綺麗な紫の酒になるのも知っているがやらない。誰か作って食わせてくれ・・
シャシャンボの見分け方は木の実の中では難しい。知りたい人は伊勢まで講習に来るか、野人を呼び寄せてくれ。国内の食用木の実、山菜はほとんどわかる。ムラサキシキブだってタラの実だってムクの実だって食える。ついでに磯の食い物も教えてあげよう。
このブログのサブタイトルにも「食の本質・・」と書いてあるように、食うことにかけては知性理性人間性よりも勝っている。食うだけでなく出すのも得意だ。