山にシバグリあり | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

野人エッセイす


野人エッセイす


栗は山にいくらでも自生している。山菜マニアはこの時期になると採取しているだろうが、一般的にはあまり知られていない。市販の栗と違って小さく、天津甘栗くらいの大きさだ。しかしその味は濃厚で、味の薄い立派な栗とは比べ物にならない。

この辺では9月半ばくらいが食べ頃だが、落下と同時に猪や他の生き物が群がり、あっと言う間になくなってしまうから競争になる。野人はこの栗を生で食べるのが恒例で、殻ごと食い破り、口に残った殻を吐き出す。野蛮だと感じるだろうがたまには歯も鍛えたほうが良い。甘くて美味しいのだが、ヤマノイモなどと違って人間が生で食べるには消化酵素不足、食べすぎたら糞詰まりになってしまう。それはシイの実でも同じことが言える。

自然のものだからイガが小さすぎて実が入ってないものも多い。山の柿も同じで、実が小さくて種が巨大。種が主役で果肉は鳥や動物を誘うものだから当然と言えば当然だ。植物は無駄なことはしない。余計な身が多いのは人間だけだろう(笑)。山道を車で走れば道端でも落ちているのを見かける。一度拾って食べてみると良い。数日経てばすぐに虫が入るから、出来ればはじけそうなイガを落としたものが新鮮で良いだろう。野人もそろそろ冬ごもりのエサを備蓄するかな。