エイ・リアンを飼い馴らす野人 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

波打ち際に落とした白いキスの頭 2個・・

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姿を現したアカエイの リアン
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最近、毎日エイ・リアンの餌付けをしている。エイリアンではなくエイ・リアンだ。野人を慕ってすり寄ってくるので仕方ない。エイのリアンは魚が大好物でいくらでも食う。10キロ近いアカエイで、リアンとは野人が名付けたアイツの名前だ。エイの仲間で最大のものは海中にヒレを広げて鳥のように悠々と泳ぐ「マンタ」だ。

マリンビレッジの前は海と言うより河口の汽水域で、うなぎやスズキや黒鯛、ハゼなども多くノコギリガザミも獲れる。釣ってきた魚をさばく流し台の前も海だが、魚のアラや内臓はそれまでは生ゴミとしてまとめて処理していた。少量なら魚やカニが食ってしまうから海に帰せば良いのだが量が多ければそんなわけにもいかない。ある日、キスをさばきながら海を覗くと小魚とカニが見えたのでキスの小さな腹身を投げてみた。さらに小魚が突きに来たのでおかわりをあげ続けた。波打ち際の水深10cm程度の浅瀬だったがこれがなかなか面白いのだ。底質は泥だから透明度はあまり良くないのだがこれくらい浅いとよく見える。しばらく見ていると沖から何か近づいてくる。潮が満ち始めて濁っているから水中はあまり見えないのだが、水面の波がこちらに向かってくる。波と言うより不自然に盛り上がっているのだ。昔映画で見た「海底二万海里」の原子力潜水艦ノーチラスを思い出す。そいつは波打ち際まで来て姿を現したが大きなアカエイだった。活きた旨そうなアカエイ・・思わずよだれが出て夕食のメニューが決まった。アカエイがいるのはわかっていた。潮が引いて底が見えるとエイが潜った窪みがたくさん見える。いつかは釣って食おうと考えていたのだ。エイは時間が経つとアンモニア臭が出るので市場にはあまり出回らないが活きていれば抜群に旨い。フランス料理では三ツ星以上のレストランだけが扱うと言われている。「エイ釣り」を客にやらせたら面白いだろうがアイツの尾は強烈な毒針を持っているので釣り上げたら危ない。性格は大人しくて愛嬌があり、海中でも踏みつけない限り武器を使うことはない。

エイのリアンはエサを食おうと浅瀬まで突っ込んで来たので海面から背中がはみ出した。こりゃあどう見ても海のエイリアンだ。覆いかぶさってエサを食っている。さらにエサを投げると頭に当たったのだが動じない。やがてエサは頭から滑り落ちて海中の鼻の側に・・・エイはデカイ鼻の穴で水を吸い込んで呼吸しているのだが、その穴にエサが・・すっぽりと・・吸い込まれた。くしゃみをするかと期待していたのだが、いつまで経ってもエサが出てこない。エイは鼻の穴からもエサを・・食う。さすがエイリアン・・・


まだまだ続くぞ・・