野生ブルーベリー「シャシャンボ」と食の本質 | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

野人エッセイす


野人エッセイす


野人エッセイす


野人は昔から山でブルーベリーを食べていた。ブルーベリーやワイルドベリーは何も北米産だけではなく日本にも同じ仲間は多い。代表的なものに浅間ベリーがあるが、これはクロマメノキのことだ。写真は「シャシャンボ」と言うブルーベリーの仲間で西日本に分布している。ブルーベリーもクロマメノキもシャシャンボも同じツツジ科だが、シャシャンボは他と違って見上げるように大きな大木になり常緑樹だ。葉の形は神棚に飾る「ヒサカキ」そっくりで、見分け方は二つある。ヒサカキの樹皮はツルツルだが、シャシャンボは杉の皮のようにささくれ立っている。葉の裏を先端から元に撫でるとヒサカキは引っ掛からないがシャシャンボは細かい棘のような引っ掛かりがあるから見分けがつく。

シャシャンボの実は秋に黒く熟し、甘酸っぱくて非常に旨い。ワイルドベリーよりも小さいが鈴なりになるので大量に収穫出来る。ブルーベリーよりもアントシアニンを多く含む健康食品で山に行けばタダなのだ。山奥よりも海岸線に近い赤土の痩せ地を好み、伊勢周辺では山道を車で行くと必ず見かける木だ。しかしほとんどの人が知らないので食べるのは小鳥と野人くらいか・・・。ヤマハリゾートにいた頃、料理長に教えた事がある。敷地内に相当数のシャシャンボの木が自生していた。こりゃイケルと喜んだ料理長はオバチャン達を総動員して山で収穫した。この実でディナーショーのデザート、シフォンケーキを作って客に出したのだ。試食したが、見たことのないような鮮やかな紫色で本当に旨かった。バーの責任者もシャシャンボをウォッカやジンに漬けたところ驚愕、絶賛した。それまでに見たこともないような鮮やかな紫色だったからだ。ブルーベリーは品種改良されてあそこまで実が大きくなったが、原種に近いワイルドベリーやヨーロッパ原種のビルベリーのほうがはるかに色素が濃い。元々細胞数は似た様なもので、人が品種改良したものは細胞が膨らんだだけなのだ。栗もミカンもイチゴも野菜も同じことが言える。大きくなるほど味は薄れ、小ぶりなものほど味が濃厚で美味しい。それが生命力のある本来の植物だ。すべての生き物はバランスのとれた本来の植物を食べなければ正常な細胞は維持出来ない。それが今の人間の健康問題の主要因で、内臓細胞の異常はそれ以外に理由はない。