地上の生物の毛は表皮の一部であり、剛毛から繊毛に至るまで動植物を問わず表皮と共にすべて「防水仕様」になっている。
皮膚と頭皮の油脂を毎日落とすのはこの世では人間だけなのだ。
生まれたときから習慣になってそれが当たり前のように信じ込んでいるが、当たり前ではなく生き物としては唯一例外だ。
販売メーカーや医学博士達にはぜひとも証明、断言してもらいたい。
「頭髪も皮膚も油脂を毎日洗い流したほうが良い、他の生き物達が間違っている」と(笑)。
何しろ当人のみならず国民のほとんどがシャンプーを使っているのだから。
川や海洋汚染は相当なものだ。
「環境も頭髪や頭皮の異常も起こるはずがない」とそう言える人にお目にかかりたい。
ほとんどの人が生まれた時から使用して本来の髪の状況すら知らないはずなのだ。
これだけ頭皮頭髪に悩み、手入れに振り回される人がいる以上、その責任があるのではなかろうか。
肌の異常も同じ事が言える。
動植物の毛は表皮の一部であり、体温調整に不可欠のものだ。
人間の汗と同じように体温を一定に保つ為のもので、太陽の熱や紫外線から守るだけでなく、空気を溜めて保温も担っている。
野人は帽子に違和感があるから昔から炎天下の中でも被らない。
植物の繊毛も同じで、常緑樹よりも表皮の薄い落葉樹や野菜などに繊毛がある。
毛が水をはじかないとすれば気化熱で急激に体温が下がり、毛に覆われた動物は生きて行けない。
いつまでも乾かないのだ。
水鳥は飛び立てず、鳥は雨の中で飛べなくなる。
雪の中で生きられる動物などいなくなるだろう。
植物も葉から水を吸収することはしないし出来ない。必ず根だ。
魚介類や海藻は粘膜で、地上の動植物はすべて油膜で守られている。
それを落とせば表皮は正常に機能出来ないはずなのだ。
ましてすべての生き物が表皮と共存している微生物までも人は流し去っている。
自然界の他の生き物と比べて、人類は皮膚も頭皮も何の問題も起きてはいないと言い切れる人はどれくらいいるのだろうか。
限りなく0に近い気がするのは野人だけだろうか。
野人の言う事が非常識なのか。
世の中の常識に比べたらはるかに非常識でもこれが野人には常識なのだ。
テーマ「たった一人の武士道」にも書いたが、武術に武道は持ち込まない。
武術は相手を倒す為の技であり、精神は個人のものだ。
礼儀作法も個人のモラルだろう。
思想と精神の集中力は別のものであり、「心技一体」とはそういうものだ。
野人の哲学は誰にも受け入れられない。
だからどの組織にも属せないたった一人の武士道なのだ。
心だけは誰にも支配されず、自由にありたいと思っている。
それと同じ考え方でこの問題を判断するなら、野人の言うことは間違ってはいない。
ただ、道理を説いて野人を諭す学者や医者がいるなら素直に耳を傾け教えを乞うだろう。
それもまた野人の生き方。頑固でもなんでもなく意外と素直だ。
言い忘れたが、野人は雨の中でも滅多に傘をささない。
面倒なこともあるが昔から濡れる事は気にしないからだ。
濡れたら乾かせば良い・・