野人の武具 仕込み単槍  | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

全長90cmと短い

野人エッセイす

短い柄の方に槍が仕込んである
野人エッセイす

ステンレスのネジ込み式
野人エッセイす

片端の膨らみは打撃用で鉄心を仕込んである

掘られた溝と穴は 鉄矢を発射する装置

一瞬にして飛び道具にもなる
野人エッセイす


この武器も山に入る時の護身用に15年くらい前に作ったものだ。100万坪の広大な遊歩道を見回る時によく猪に出くわした。樹木など植物の研究もしていたのでブッシュの中にも入って行く。そこは猪の宝庫で至るところに「獣道」があり、猪の泥場や、木にこすりつけて牙を研いだ跡があるのだ。特に夕方になれば出くわして当たり前。デカいのは80kgを超え、牙も強烈だ。相手が子連れの家族なら親は向かってくる。猪は巡回中のパトカーにも体当たりするくらい気が荒い。素手で歯が立つ相手ではない。強烈なヘッドパッドに切り裂き、噛み付きまで強烈だ。野人も夕方にデカいのに出くわし、素手で健闘空しく敗北、木の上に逃亡した経験がある。猪は下から野人を睨みつけ、「ブヒ!」・・と一言、勝利の声をあげて立ち去った。野人はそれまで戦いに敗北した事もなければ敵に背を向けたこともなかった。相手が複数であろうが刃物など武器を持とうが平気だった。しかし・・あいつに・・負けてしまった。ブヒ・・とバカにされて。お尻にアザまでもらって・・・その時の屈辱をバネに体を鍛え直し5キロ減量、瞬発力とパワーを取り戻し、対抗できる幾つかの武器を製作した。これは当時の遺産だ。この程度では歯が立たないが、狭いブッシュでは威力を発揮する。眠っていた闘争本能が蘇り、リベンジに燃えた時期だ。

結果は大きな声では言えないが、フフフ・・とだけ言っておこう。こうして生きているしハムは旨かった。山中に住み、自給自足しながら地球物理学の研究をやるつもりで退社、これが役に立つと思っていたのだが会社を興したのでいまだ目的が果たせていない。そのうち役に立つだろう。これはあくまで「護身用」なのだ。このコーナーで以前にも紹介したが、手裏剣、投げモリ、仕込み錫と合わせて対猪用に考案した武器はこれで四つ目だ。「そんなもんで猪に勝てるか!」と知人のハンター達から随分バカにされたが、体力ではともかく知恵で猪ごときに人間が負けるはずはないのだ。同じ過ちは繰り返さない。