猿から学んだ女子社員 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

野人から学んだ女子社員もシャンプーを使わなくなった。彼女も石鹸を使わなくなって久しい。その効果を知っているからシャンプーもやめてしまった。彼女は昔から体臭がきつくて気にしていたのだが、真夏に何日も着っぱなしの野人のTシャツの臭いを嗅いでから認識が変わったようだ。野人は海に出て汗だくになってもそのまま家で寝てしまい、不精だから翌日もそのままの格好で海に出ていた。石鹸をまったく使わないことも知っていたから、最初は非常識の不潔人間と思っていたのだ。文句を言いながらも臭いを嗅いでは「信じられん!」を連発していた。シャワー室の野人のバスタオルも数ヶ月経っても臭わない。野人農園もたまに手伝い、その野菜の旨さも知っている。実家では母親がずっと畑をやっているのだが、さすがに野人のような畑は見たことがないようだ。彼女が最初に驚いたのは異常なほどの鳥の多さだ。バードウォッチングが出来るほど鳥が集まってくる。次に驚いたのは土の柔らかさ。とにかくあんな柔らかい土は初めてだったようだ。草も抜かず耕しもしないのに何故柔らかいか、散々野人の講釈を聞かされてきたのだ。土壌の仕組みも皮膚の仕組みも同じ事で、余計な事をするからおかしくなる。それを目の当たりにしてシャンプーもやめてしまったのだ。頭皮を大地とするならシャンプーは、言わば時間をかけて効いて来る「除草剤」のようなものだ。この場合は草ではなく毛だが。

彼女は若い頃は長い黒髪が自慢だったらしい。それが何を試してもだんだん荒れてきて危機感を持っていたようだ。シャンプーをやめて一ヶ月だが快適らしい。触らせてもらったが、べとつくわけでもなく自然にしっとりしていた。決して不自然なサラサラではない。髪には何も付けていなかったが臭いもなく、シャンプーの臭いもまったくしない。体臭も気にならなくなったようで、石鹸もシャンプーも使う気持ちはまったくなくなったらしい。頭皮が正常になれば髪もすぐに昔のように戻るだろう。それくらい皮膚の仕組みは優れたものなのだ。

フケは病気ではなく警告だ。原因となる自らの行動をあらためることなく、さらにフケ取りシャンプーを用いるのは「フケの上塗り」のようなもの。紫外線にやられるから防止クリームを塗る、髪に潤いがないから潤いを持たせる、痒いから痒み止めシャンプーを使う、アトピーが出たから薬を使う。風邪をひくのは当たり前だから薬を用いたり予防接種をする。これらもまったく同じ事が言えるようだ。一見当たり前のようで当たり前ではない。野人から見れば明らかに思考順路がおかしい。足元ばかり見て歩いている猿とは視点が異なる(笑)。ここらあたりでそろそろ猿から学び、自虐をやめるべきではなかろうか。体の為にも環境の為にもそのほうが良い。色んなエコ活動をやるより身近に出来るもっと大切な事があるのだ。人は一度得た快適な暮らしを失いたくはない。しかしそれが本当に快適かどうかもう一度考え直して見るべきだろう。快適が体に良いとは限らない。メディアに単純に振り回される事なく自分の頭で考えてみればすぐにわかる。日本人は世界一洗脳されやすい国民なのだ。集団行動もブランド商品に飛びつくのも日本人の特徴だ。常識と称して何故右にならうのか、何故ブランドに群がるのか、自分自身でもわかってはいない人のほうが多い。バカの壁と同じように、普段は見えないから足元の視点なのだ。時には猿をじっと観察する好奇心が必要。そしてご先祖様から素直に学べば良いのだ。